「選ばれる努力さらに必要」 新TPP、とちぎの畜産農家も危機感

 日本など11カ国が8日午後(日本時間9日未明)、新たな環太平洋連携協定(TPP)に署名した。発効すると、近い将来、安価な輸入品との競争にさらされるのが畜産を中心とした農業分野。生産者は「消費者に選ばれるための努力がさらに必要」と危機感を募らせるほか、国内対策の早期整備を求めている。

 農林水産省の試算で最も影響があるとされる牛肉。関税は現行の38・5%から16年後には9%まで段階的に引き下げられるため、輸入量の増加が予想される。

 肉用牛の肥育を手掛ける長谷川農場(足利市)の長谷川良光(はせがわよしみつ)代表は「10年、20年かけて真綿で首を締め付けられるような合意内容。影響は必ず出る」と厳しい表情を浮かべる。

 農家にとって手間も時間もかかる国のTPP対策の助成手続きに対しては「もう少し機動的に動けるような制度にしてもらわないと、(助成が)欲しい時に間に合わない」と注文する。

 ただ既に経営規模の拡大など対策を取る農家は多いという。長谷川農場も昨年、牛舎を増築した。1991年の輸入自由化以降の新たな岐路に、長谷川代表は「もう一度、経営感覚が問われている」と自戒する。

 豚肉は安い価格帯で現行1キログラム482円の関税が、TPP発効後10年目以降、50円まで引き下げられる。高齢化などの影響で農家の減少が続く国内で、生産コストの低い輸入品との競争が激しさを増す。

 県養豚協会長で日本養豚協会会長代行としてTPP対策に尽力する星種豚場(那珂川町)の星正美(ほしまさみ)社長は「まずは農家の経営を安定させないといけない」と指摘した上で、生産農家側も「繁殖能力などを高める必要がある」と力を込めた。