酒造好適米をご存じだろうか。日本酒の原料で酒米とも呼ばれる。食用米との違いは粒が大きく吸水性がよいことや、中央部にある「心白」が大きくこうじ菌が入りやすいことなどが挙げられる▼国内で最も生産され、酒米の王様と呼ばれるのは1936年に兵庫県で命名された「山田錦」。香りがよくコクのある味わいで蔵元の人気は高い。このほか新潟県で誕生した「五百万石」、長野県の「美山錦」などが左党になじみ深い▼今年、県内の地酒ファンを喜ばせたのは酒米「夢ささら」のデビューだろう。吟醸酒製造に向く県オリジナルの新品種で、県農業試験場が山田錦をベースに病気に強い品種との交配を繰り返して12年がかりで開発した▼酒造りは良質な酒米と水、杜氏(とうじ)の技術が融合して上質なものが生み出される。吟醸酒醸造で兵庫県産の山田錦を使う県内蔵元は多いが、夢ささらによって本来の意味での地酒が誕生することになる▼この秋に収穫された夢ささらは、県内の蔵元の大半が醸造して来年3月8日に一斉発売する。東京五輪や栃木国体に向けて栃木の酒をアピールする絶好の材料となる▼今年の関東信越国税局酒類鑑評会の純米吟醸酒の部で、本県の出品数に対する入賞比率は他県に比べて高く実力は折り紙付き。飲み比べて蔵元ごとの味を楽しむのも一興だろう。