60年越し、矢板にお礼参り 落車の馬保護、自身の看病も 千葉の藪本さん

 京都大馬術部員だった1959年夏、青森県で開かれる講習会に向け貨物列車で輸送中だった乗馬用の馬が矢板市内で落車し、助けようと自身も走行中の列車から飛び降り負傷した千葉県白井市堀込2丁目、医師藪本栄三(やぶもとえいぞう)さん(80)が4日、馬を保護し自身の看病もしてくれた近隣住民へのお礼も兼ねて当時参拝した矢板市玉田の生駒神社(勝善(しょうぜん)神社)を再訪し、改めて感謝した。次女で元日本テレビアナウンサーの雅子(まさこ)さん(50)が昨年末に経緯を詳しく知り、約60年ぶりの“お礼参り”を提案した。藪本さんは「親切な矢板の方を忘れない」と謝意を述べた。

 医学部4年だった藪本さんは当時、後輩と2人で馬4頭と同じ貨車に乗り北進していたところ、1頭が暴れて片岡駅を過ぎた辺りで落車。列車が減速した野崎駅で走行中の貨車から飛び降りた。駅員らと線路を歩いて南進し付近を数時間捜した結果、馬は片岡駅から塩谷町方面へ進む途中の矢板市石関の農業男性宅で保護されていた。

 藪本さんも腰や両足を打撲や擦り傷で負傷し、農業男性宅で1週間療養。青森県へ出発する前、馬を祭る生駒神社を近隣住民と共に参拝した。翌年には落車した馬に乗り馬術の全日本大会を制覇。大学卒業後は医師として京都大病院などに勤務する傍ら、同大馬術部の監督も務めた。

 その後、農業男性に礼状を書いたが、直接お礼したいという思いを持ち続けていた。再訪を後押ししたのは雅子さん。昨年末、エピソードを知った雅子さんが同神社を捜し出した。矢板市役所に手紙を送り、4日の同神社の大祭に合わせて来県することになった。

 藪本さんは妻花子(はなこ)さん(74)、雅子さんと大祭に参加。拝殿内の1枚の絵馬に目をとめると「この絵馬は覚えている。間違いなくこの神社」と懐かしんだ。農業男性宅は特定できなかったが、関係者とみられる親族と対面することができ、先代への感謝を伝えた。