図書館の蔵書拡充に100万円寄付 6000冊借りた“常連”小川さんの遺族 上三川

 【上三川】上三川の無職小川広生(おがわひろお)さん(53)は1日、「町図書館の蔵書拡充に役立ててほしい」と現金100万円を星野光利(ほしのみつとし)町長に手渡した。昨年2月に93歳で亡くなった父鉱三郎こうざぶろう)さんが町図書館から28年間で約6千冊の本を借りていたことから、一周忌を終えて「お世話になった図書館に」と寄付した。「意思をきっちりと受け止めいい本を購入します」と星野町長は感謝していた。

 鉱三郎さんは1923年東京生まれ。幼くして父と死別し、太平洋戦争は満州などで戦火をくぐったという。「よほど悲惨な体験をしたのか、尋ねても一切戦争の話はしなかった」と広生さんは振り返る。

 同町のスリッパを製造販売する会社に1962年ごろ就職。退職してからは大好きな読書に没頭する毎日で、週2回は町図書館に通い、「ノンジャンルで」(広生さん)3、4冊を借りていたという。自動車免許を返納した後も図書館までの約1キロの道のりを徒歩で通い続けた。

 借りた本の数はデータが残っている28年間だけでも5967冊に達した。年間213冊、2日で1冊読んでいた計算になる。本はそれ以前から借りており、総数はさらに多いと推測される。野尻佳代(のじりかよ)館長(50)も「町で1番の利用者だったのでは」という。

 鉱三郎さんは病院で息を引きとったが、病院から遺体を自宅に搬送する際には、車を町図書館経由のルートに変更。図書館のスタッフが顔なじみの鉱三郎さんを手を合わせて見送った。