小石の目線で鉱毒事件伝える 田中正造の絵本発刊

 佐野市出身の田中正造(たなかしょうぞう)の遺品だった小石の目線で正造の半生や足尾鉱毒事件を描いた絵本「わたしは石のかけら−もうひとつの田中正造物語」が今月、随想舎から発刊された。宇都宮市、元教員の越川栄子(こしかわえいこ)さん(83)が文をつづり、宇都宮市出身の故立松和平(たてまつわへい)さんの長女でイラストレーターのやまなかももこさん(40)=東京都=が絵を手掛けた。

 病に伏して死が近づく正造の枕元には、どこかで拾った3個の小石があったとされる。絵本は、山や川などを転々とする中で正造に拾われた小石が、鉱害反対運動に“同行”しながら磨かれ、丸みを帯び輝きを増す様子などが描かれている。

 正造の顕彰に取り組む越川さんが昨年夏ごろ、小石を主人公とする詩を随想舎に持ち込んだことが出版のきっかけ。越川さんは「山や川の自然の営みがあるから小石が下流に運ばれ人々の目に留まる。そう考えると、小石こそが正造自身を象徴する物に思えた」などと着想の原点を明かす。