再生医療の安全性向上へ 腫瘍抑制、仕組みを解明 自治医大の研究グループ

 難治性疾患の治療法として期待されるiPS細胞やES細胞を使った再生医療では、移植した細胞が未分化なまま残り、腫瘍(テラトーマ)に変化する可能性があることが大きな課題とされる。その腫瘍形成の仕組みと抑制方法を、自治医大分子病態治療研究センター幹細胞制御研究部の菊池次郎(きくちじろう)准教授(51)=腫瘍学=らの研究チームが解明した。

 米国科学誌「Oncotarget(オンコターゲット)」オンライン版に掲載された。

 菊池准教授によると、iPS細胞やES細胞をマウスに注射すると、さまざまな種類の組織が混在したテラトーマが生じるケースがある。がんへ進行する恐れもあるという。

 だがその形成メカニズムや移植後の予防方法は未解明。「患者に生じた場合には切除手術が必要で、治療効果も消えてしまう」といった問題があった。

 そこで菊池准教授らは形成には「(引き金となる)スイッチがあるはずだ」と仮定。2015年秋からマウスなどで実験を進め、ある特定のタンパク質(リジン特異的脱メチル化酵素、LSD1)がテラトーマに変化することを突き止めた。

 理化学研究所の協力を得て、このタンパク質を抑制する薬を新たに開発。iPS細胞移植後のマウスに投与すると、「腫瘍が劇的に抑制できた」という。