雪崩事故9カ月、遺族の時は動かず 年の瀬にも消えない「あの日」

 那須町で登山講習会に参加していた大田原高の生徒、教員の計8人が死亡した雪崩事故は27日、発生から9カ月が過ぎた。国は改めて高校生の冬山登山の原則禁止を通知し、県教委は再発防止策を固めたが、悲劇を繰り返さないための取り組みは始まったばかり。遺族らの時間は止まったまま、間もなく年が暮れる。

 事故後、県教委は第三者による事故検証委員会を設置。検証委は10月、報告書を県教委に提出した。検証委の提言などを踏まえ、県教委は具体的な再発防止策の検討を進めている。

 危機管理部署の新設、衛星電話の貸し出し、研修の強化−。安全登山に向けた方針は見えつつあるが、実現にはまだ時間がかかる。

 亡くなったさくら市氏家、奥公輝(おくまさき)さん=当時(16)=の父勝(まさる)さん(46)は「県教委の再発防止策に関する動きは、率直に言って遅いと思う」と受け止める。高校生の冬山登山で例外を認める際の5条件を示したスポーツ庁や他県の対策の状況を踏まえ「なぜ事故が起きた本県がもっと早く具体策を出さないのか」と疑問を口にした。

 再び訪れた雪の季節。「寒さや空が事故当時と似てきて、当日のことが思い出されつらい」という。

 「検証委が終わり次の段階に入っていると思うが、私たちは息子が亡くなったことに日々向き合わざるを得ない」。教員でただ一人犠牲になった栃木市都賀町、毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の父辰幸(たつゆき)さん(65)は変わらぬ思いを漏らす。