摂食障害から「窃盗症」に 「盗まずにはいられない」治療中の女性が語る

 足利市内のコンビニで万引したとして窃盗罪に問われ、宇都宮地裁足利支部で11月に執行猶予判決を言い渡された女子マラソンの元日本代表選手(35)が法廷で明かした摂食障害。過酷な現役時代に発症したのを契機に、万引を繰り返すようになったことを自ら証言した。医療関係者の間では、盗みをやめられない「窃盗症」と摂食障害とは合併して発症しやすいと指摘され、刑罰だけでなく治療の必要性を訴える声が上がっている。

 「盗まずにはいられない泥沼状態だった」。万引しては食べ、食べては吐くのを繰り返した−。

 窃盗症診療の先駆的存在として知られる赤城高原ホスピタル(群馬県渋川市)で治療を続ける医師女性(42)は、メモ用紙に自らの刑罰の記録をつづりながら振り返った。

 大学受験に落ち予備校に通うため東京都内で1人暮らしを始めた19歳の頃、日々の食事を抜く極端なダイエットを始めた。容姿や体形に劣等感があった。

 それが過食に転じたきっかけは、帰省時に祖母がくれたあんこ菓子。「我慢できず食べたらすごくおいしくて、その時の快感が忘れられなくなった」

 ストレスを感じると、過食とダイエットを繰り返した。簡単にやせようと嘔吐(おうと)を始めたのは、医師になってから。患者のために粉骨砕身する理想像に憧れたが、現実は「食べて吐くだけの自分」がいた。理想とのギャップで生じたストレスも過食で解消する悪循環に陥った。

 食費が月30万円に上ることも。それでも食べ吐きはやめられず37歳の頃、万引を繰り返すようになった。買い物かご二つ分の食料品をカートに積みレジをすり抜けた。何度も逮捕された末、今年8月まで約1年10カ月間を刑務所で過ごした。

 現在は同ホスピタルなど複数の病院でグループミーティングなどに参加する。「罰を受けるのは当然だが、悪いと分かりつつも、せざるを得なかった」。ためらいがちにつぶやいた。