笠井尚医師

 免疫を利用したがん治療薬「オプジーボ」の開発に貢献した本庶佑(ほんじょたすく)京都大特別教授のノーベル医学生理学賞受賞で、オプジーボなど免疫チェックポイント阻害剤による治療に対する関心が高まっている。県立がんセンター呼吸器内科長の笠井尚(かさいたかし)医師に改めて治療のメリット、デメリットなどについて聞いた。

 免疫チェックポイント阻害剤は、免疫の働きを抑えるブレーキを解除し、免疫細胞にがんを攻撃させるようにする。本庶さんらはブレーキ役となる分子「PD1」を発見した。

 笠井医師は「免疫を活性化させるというイメージを持つ人もいるが、正確ではない。ブレーキを解除することで免疫が働くようにする薬」と説明する。そのため、もともと免疫が低下している高齢者や、体調が低下している患者の場合は効果が弱い傾向があるという。

 かつては免疫を利用した治療の効果ははっきりしていなかったが、オプジーボの登場により効果が証明された。「肺がんの場合、2割くらいの患者に大きな効果があり、1割ちょっとは再発もみられなかった」

 一方で副作用が出るケースもある。「間質性肺炎のほか、既存の抗がん剤との違いでは糖尿病や甲状腺の機能異常、腸炎など。少数だが神経系や心臓の異常などもある」と笠井医師。

 がんの種類によって効果が違ったり、同じがんでも効果に個人差が生じたりする場合もある。肺がんの場合、PD1と結合するPDL1のがん細胞内における発現率が50%以上だと効きやすいという指標もあるが「発現率が高くても効かない患者もいるし、その逆もある。絶対的な指標ではない」と話す。

 同センターは患者の状態や、これまでの治療の経緯などを考慮しながら、オプジーボなどの使用を検討している。「基本は本人がある程度元気なこと。元気ならば高齢でも投与する場合もある。情報を示した上で勧められるか否かを説明し、納得してもらった上で方針を決定している」としている。