高根沢町の田んぼのただ中に、築100年以上の古民家が建つ。外観はごく普通の農家のようだが、看板には「フリースペース ひよこの家」とある▼不登校の子どもたちの居場所として15年前に開所した。正式には「適応指導教室」と呼ぶそうだ。各市町教委に設置されているが、ここの大きな特徴は発足当初から学校復帰を主目的にせず、学校に代わる学習の場でもないということだ▼いろりや薪ストーブがある空間で、子どもたちはぬくもりを感じながら心を休ませることができる。他とは違い、給食の提供も早くから実施。学校と同じものを食べることで安心感と所属感をもたらす効果があるという▼今、町内外の小中学生約20人が登録する。時間割はなくスタッフと相談しながら1日の過ごし方を決める。受験勉強をしたりゲームを楽しんだり卓球に興じたり。ほぼ全員が高校に進学してきた実績がある▼県内公立小中学校に通う児童生徒のうち、2017年度に不登校だった子どもたちが5年連続で増加したという。県教委は「復帰を急がせないで丁寧に対応した結果だ」と分析する▼家庭の状況や友人関係などで不安や無気力になり、不登校となる子どもたち。安心して過ごせる場所を確保することが、極めて重要だということをひよこの家の15年が如実に教えてくれている。