東照宮と輪王寺の所蔵資料にも光 朝鮮通信使「世界の記憶」で

東照宮と輪王寺の所蔵資料にも光 朝鮮通信使「世界の記憶」で

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に31日未明、登録が決定した「朝鮮通信使に関する記録」。県内では日光東照宮所蔵の巻子本2点、日光山輪王寺所蔵の巻子が対象になった。朝鮮通信使の日光参詣の様子がうかがえる貴重な資料だ。関係者からは、日韓友好の歴史に光が当たる登録に喜びの声が上がった。

 日光東照宮所蔵の巻子本は「東照社縁起(仮名本)全5巻のうち第4巻」と、「東照社縁起(真名本)全5巻のうち中巻」。ともに徳川家光(とくがわいえみつ)の命で制作され、1640年に奉納された。朝鮮通信使は36年、日光に参詣。仮名本の第4巻の「朝鮮人」の箇所には、この様子が狩野探幽(かのうたんゆう)によって描かれ、朝鮮通信使の詩3点も載せられている。真名本には詩16点が載せられている。いずれも国重要文化財。

 日光山輪王寺所蔵の巻子は「朝鮮国王孝宗親筆額字」。朝鮮国王孝宗の自筆で、「霊山法界崇孝浄院」(縦47センチ、総長3メートル49センチ)と墨書されている。「霊山法界」は日光を、「崇孝浄院」は家光をまつる大猷院を示すとされる。55年の朝鮮通信使が奉納した。県指定文化財。

 日光朝鮮通信使研究会の柳原一興(やなぎはらかずおき)主宰は「朝鮮通信使が日本で公式行事を行ったのは江戸と日光しかない。日光にある他の資料も含めて、後世に伝えてほしい」と話す。

 登録を受けて日光東照宮は「朝鮮通信使は、御祭神徳川家康(いえやす)公による国交正常化や善隣外交の象徴。登録は誠に喜ばしい」とし、関係文書を宝物館で公開する考えを示した。一方、日光山輪王寺は「両国の友好関係の歴史が評価されたものと確信する。登録がさらなる友好親善の契機となることを念じてやまない」と歓迎した。