豪雪、地震、台風、豪雨、猛暑…。経験したことのない災害が次から次へと押し寄せる、そんな1年だった▼命を守るため、どう備えるか。被災したときに何ができるのか。九州大では2016年の熊本地震を受け、「九州の防災」という講義が開かれ、さまざまな分野の学者が第一線の知恵を伝えた▼その内容に学外からの寄稿を加えた同名の教科書が発刊された。政府の発表する地震発生確率は根拠が検証されておらず、うのみにするなというロバート・ゲラー東大名誉教授の指摘は、地震国の住人としてまずは押さえておくべきことだろう▼芸術による復興支援、阿蘇の草原を守るための基礎研究など、一見、防災に関連のなさそうな学問の話が印象的だ。この社会は、実に多様な知的活動の蓄積に日々支えられているのだと、教えられた▼大学とは本来そんな活動の場であるはず。だが政府は大学を経済成長の道具としてしか見ていない。産業に貢献する組織に変えると宣言し、自分で資金を稼げと求めて支援を絞る。それでは研究も教育も荒廃する▼災害だけでなく少子高齢化、自然環境の激変、国際情勢と、先行きの不透明感が増す時代にあって、何が起きても柔軟に対応できる社会をつくっていく必要がある。その担い手を育て、新たな知を生み出す役割を大学には託したい。