ヘアードネーション用に髪を切る女子高生と加藤さん(中央)

 【宇都宮】河内地区で美容院を2店舗経営する中岡本、美容師加藤紀美子(かとうきみこ)さん(49)は、病気や不慮の事故などさまざまな理由で毛髪を失った子どもに医療用ウィッグを贈る「ヘアドネーション(髪の寄付)」と言われる活動に協力している。8年間で約1千人の協力者を得ており、「病気の人が生き生きと過ごせるように」と仕事を通した社会貢献活動に努めている。

 加藤さんは8年前、客から「切った髪を寄付したい」という相談を受け、ヘアドネーションを知った。普及活動を行うNPO法人「Japan Hair Donation&Charity」(大阪市)や医療用ウィッグメーカー「グローウィング」(同)が運営する「つな髪」プロジェクトに協力し、店のブログで活動を紹介すると、市内外から賛同者が現れた。

 印象に残っているのは抗がん剤を控えた女性患者のカット。薬の副作用で脱毛することが分かっており「抜ける前に髪を必要としている人へ届けたい、という強い思いを感じた」と振り返る。女性患者が鏡の前で泣く姿に、涙をこらえながらはさみを動かした。

 寄付に必要な長さ15センチまたは31センチほどカットすると、印象が大きく変わるため、協力者への丁寧なカウンセリングを心掛けている。メジャーを使って長さを念入りに確認してもらい、写真で短い髪のイメージを伝えている。

 1年以上伸ばした髪を切った市内在住の宇都宮東高2年桜井遥(さくらいはるか)さん(17)は「友人や母親の後押しで寄付を決めた。自分の髪が役に立つのはうれしい」とほほ笑む。

 加藤さんは、かつらを持ち主の個性に合わせ調整したり、薬の影響で荒れた肌のメーク方法などアピアランス(外見)ケアにも関心を持ち、民間資格「医療美容師」を取得した。「病気を抱えていても、自分らしく笑顔で生活できるようお手伝いがしたい」と話し、後進の指導にも取り組んでいる。