本県出身で世界の頂点に立ったスポーツ選手というと、誰を思い浮かべるだろう▼古くは女子バレーの半田百合子(はんだゆりこ)さん、ボクシングのガッツ石松(いしまつ)さんあたりか。最近では競泳の萩野公介(はぎのこうすけ)、柔道の海老沼匡(えびぬままさし)、高藤直寿(たかとうなおひさ)、女子サッカーの安藤梢(あんどうこずえ)、鮫島彩(さめしまあや)の各選手らがいる▼知的障害者スポーツのスペシャルオリンピックス(SO)では、SO栃木の薄井(うすい)えりか選手(32)=宇都宮市鶴田町=が、7年前の世界大会の卓球で3冠に輝いた。その元女王が来年3月の世界大会(アラブ首長国連邦・アブダビ)に出場することが決まった▼選考会も兼ねた9月の全国大会では、リーグ戦3試合全てストレート勝ちした。日本女子でただ一人、そして優勝経験者としての出場に「プレッシャーはあるけど、金メダルを取りたい」と意気込む▼宇都宮市内のパン店に勤務しながら、週4日の練習を重ねる。うち2日は一般選手に交じり、高校生の男子と打ち合うこともある。スピードへの対応力が向上するなど、着実にレベルアップした▼より競技性の高いパラリンピックでは、一部競技で健常者の不正出場があり、知的障害が全面除外された時期があった。卓球は既に復活しており、薄井選手も「難しいけど出たい」と夢を膨らませる。その夢に一歩でも近づくためにも、アブダビでの活躍に期待したい。