肉や魚をしょうゆなどで味付けし、衣で揚げた料理が竜田揚げ。総菜にも酒肴(しゅこう)にもぴったりの一品だ。その名の元は一説では、奈良県を流れる竜田川から来ているらしい▼〈ちはやぶる神世も聞かず竜田川からくれないに水くくるとは〉。在原業平(ありわらのなりひら)が歌った川は古来、紅葉の名所として知られる。竜田揚げはその色に似ているからだとか。風雅な由来なのである▼この歌は小倉百人一首を代表する一首として名高い。鎌倉時代の御家人宇都宮頼綱(うつのみやよりつな)が編さんに関わったことから、百人一首ゆかりの地を自任する宇都宮市。その名を高める快挙が最近あった▼全国持ち回りで開かれる国民文化祭の競技かるた全国大会は、団体戦の最高峰の一つに数えられる。今年の大分県の大会で本県チームの7人が初の3位入賞を果たしたのだ。この種目の本県のレベルは正直、高くなかっただけに歴史的と言ってもいい▼監督兼選手の県職員大貫祟文(おおぬきたかふみ)さん(32)によれば、雅な歌の世界とは異なり、競技は相当に激しい。試合は1日12時間に及ぶことも。集中力や記憶力に加え、相応の体力が求められる▼目標はずばり優勝。そのために必要なのは「練習あるのみ」と明快だ。大貫さんを除けば19~22歳の若手で構成する本県チームに欠かせないのはスタミナか。竜田揚げは打ってつけのメニューだろう。