稲の収穫を祝い、豊穣(ほうじょう)を祈る宮中の祭祀(さいし)に新嘗祭がある。かつては国の祭日だったが1948年に国民の祝日の「勤労感謝の日」に変わった▼きょう23日は「勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝しあう」日である。会社勤めのみならず農民も商店主もあまねく職業に就く人々が、互いの勤労ぶりをたたえ合う。忘れてならないのは、家事労働に携わる人たちも含まれるということだ▼23日は「外食の日」でもある。外食産業の業界団体、日本フードサービス協会が「いつも家事で忙しい母親の労をねぎらう」との意味を込めて84年に制定した。男女共同参画が進む今の時代にあって「家事イコール母親」とのとらえ方が通用しないのは当然である▼ただ、日々の労働で消耗した心身を外食で癒やすのはいいアイデアだと思う。家族や職場の仲間、あるいは友人、恋人同士で普段よりちょっぴりぜいたくして外食するのは悪くない▼外食で思い出すのが、子どもの頃に親に連れていってもらった宇都宮市内のデパートにあった大食堂だ。ショーケースに並ぶサンプルにくぎ付けになり、あれもこれも捨てがたく大いに迷った記憶がある▼あのごちそうの数々が親の勤労のたまものだったと当時は気付きもしなかった。無論、外食産業で働く人たちへの感謝の気持ちも忘れてはならない。