弾き語りを披露する琴音さん

 【佐野】県立盲学校1年吉沢琴音(よしざわことね)さん(16)=関川町=は、生まれつきの全盲をものともせず、1度聴いた曲をそのまま覚えてピアノの演奏会で披露するなど、音楽を通じて人の輪を広げている。23日には牧町の総持院(半谷昌弘(はんがいまさひろ)住職)で開かれた彼岸法要で、弾き語りによる慰問コンサートを行い、美しい音色で観衆を魅了した。

 琴音さんの音楽との出会いは2歳の時。母美紀(みき)さん(47)が寝ている琴音さんの足元におもちゃのキーボードを置くと、足で「きらきら星」や「大きな古時計」を弾き始めた。幼稚園に通い始めると、先生のまねをしてピアノを弾き、誰も教えていないのに演奏する姿は周囲を驚かせたという。

 かつては人づきあいが苦手だったという。しかし、中学2年から通い始めた小中町の障害者支援施設「とちのみ学園」では、琴音さんが弾くピアノに合わせて歌ったり踊ったりするのが人気で友だちが増えた。それまで交流がなかった利用者たちも「琴ちゃん、ここは段差だよ」と手を貸してくれるようになった。

 その後、琴音さんの活躍の話が次第に広がり、同施設の行事を中心に慰問コンサートを行うようになっていった。美紀さんは「琴音は人に合わせて演奏するのが好きみたい。小さいころは泣いてばかりで周囲を困らせていたので、恩返しになれば」と目を細めた。