解体した民家に残されていた笹沼寛祐の壁画と岡田さん

 【宇都宮】日本画の大家荒井寛方(あらいかんぽう)に師事した、さくら市出身の日本画家笹沼寛祐(ささぬまかんゆう)(1905~85)が壁に描いた70年前の仏画が、このほど解体された市内の民家に残っていた。寛方に似た筆致の釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)など5点で、近く文星芸術大に寄贈される。壁画の保存などに関わった関係者は「寛祐を顕彰する機会になるといい」と期待している。

 寛祐は戦中、戦後にかけて高根沢町内に住んだ。同じくさくら市出身の荒井寛方に師事し、仏画や農民の暮らしを描いた日本画を数多く残した。

 この春、長く空き家だった松原2丁目の茂木茂雄(もぎしげお)さん(故人)の民家が解体された。その際、仏間のしっくいの壁などに寛祐の絵が残っていた。

 茂木さんの親族によると、戦災で焼け、戦後すぐに建て直した家で、主は20年以上前に亡くなったという。再建当時、茂木さんは地元ゆかりの芸術家らと親交があったといい、寛祐も訪れた際に、壁画を残したとみられる。

 縦が約60~90センチ、横が約80~90センチの5点。釈迦如来坐像や文殊菩薩(もんじゅぼさつ)、飛天などを緻密に表現している。絵には1947年作とする日付が残る。

 個人で壁ごと保存するのは困難なため、解体を担った市内の建設会社を営む岡田孝司(おかだたかし)さん(62)が知人や美術関係者らを通じて所蔵先を探した結果、同大に寄贈することになった。岡田さんは「これを機に、寛祐の人となりや作品を広く知ってもらえたらうれしい」と話す。