初個展を開いている増渕さんと出品作

 【上三川】息子の介護をしながら油絵に打ち込む上文挟、増渕良子(ますぶちりょうこ)さん(74)の初個展が16日まで、宇都宮市本町1丁目の県総合文化センター第1ギャラリーで開かれている。作品の題材は、町内の鬼怒川河川敷の崩れた消波ブロックや流れ着いた自転車、枯れ草などが大半を占める。力作36点を出品している増渕さんは「波瀾(はらん)万丈の人生だった。それが絵に反映されているのかもしれない」と語り、多くの来場を呼び掛けている。

 農業や家事をしながら、両親の介護をしていた増渕さん。53歳で両親を相次いで亡くし、これまでの生活が一変した。そんな時、目に留まったのが町内在住の洋画家田中定一(たなかさだいち)さんが主宰する絵画教室のチラシ。油絵を描いたことはなかったが、「挑戦してみよう」と思い立った。続ける内に、その深みにどんどん魅了されていった。

 だが、長男(42)が約20年前に交通事故に遭い、半身不随に。介護をするため、絵の題材を求めて遠出することはできなくなった。自然と向かったのが、自宅近くの鬼怒川河川敷。枯れ草に引っかかった釣り糸など、「きれいとはいえない風景」に興味を抱いたという。