【動画】大川信夫さん、船田章さんの本紙インタビュー

 「戦争ってさ、かっこいいよね」。最近、知人の子どもが無邪気に放った一言。がくぜんとした。

大川信夫さん

 佐野市出流原町、大川信夫(おおかわのぶお)さん(91)。大学時代、学徒出陣で陸軍に入った。ともに出征した友人たちは、台湾南のバシー海峡で敵艦の魚雷に被弾するなどし、死んでいった。

 「国のため、正義のため」と信じ、多くの若者が犠牲になった。「洗脳されていた」。気付いたのは、戦後だった。「正義だなんて美化しちゃいけない。戦争は、ただの人殺しだ」

 60代で教職を終え、その後は小学校などで戦争体験を話している。子どもは熱心に聞いてくれるが、「世の中が右傾化している」と思え、気に掛かる。

 集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法の施行。平和憲法について語れば、「9条って何?」と聞き返す大人もいた。

 平和が当たり前になっているからこそ、警戒心は強まる。「日本はまた、戦争に向かうんじゃないか」

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 「31歳フリーター。希望は、戦争」

 衝撃的なタイトルの論考で、佐野市出身のフリーライター赤木智弘(あかぎともひろ)さん(39)が論壇に議論を巻き起こしてから8年がたった。

赤木智弘さん

 「まじめに頑張っても、どうにもならない」

 非正規労働者としての悲痛な叫び。格差の固定化と拡大に対し、戦争という混乱状態が起きれば社会が流動化すると考えた。若者から共感の声が上がった。

 一方、進歩系の論客からは「戦争待望の妄言は許せない」と批判が相次いだ。

 赤木さんは戸惑った。

 「若者には当たり前の感覚なのに…」

 状況は今も変わらず、むしろ悪化している、と感じる。中東の過激派「イスラム国」へ参加しようという若者も現れた。

 若者たちの思いを、淡々と代弁した。

 「戦場も、他の職場と並列のもの。居場所があるところに向かうのだろう」

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 元小山市長の船田章(ふなだあきら)さん(92)は今夏、集団的自衛権行使容認に反対する市民団体の呼び掛け人に名を連ねた。

船田章さん

 「保守系元首長も反対」と報じられ、注目された。しかし、船田さんは思想信条を変えたわけではない。

 1988年から3期12年務めた市長時代、平和への思いを平和都市宣言や広島平和記念式典への中学生派遣などで具現化した。

 23歳の時、軍医として派遣された台湾でさらされた戦禍。夕立のような銃撃、幾度となく米軍機に襲われ、身を硬くした。

 「戦争はおっかない。若者が死ぬのはもったいない。愚かなことだ」。戦地で初めて身に染みた。

 「政府は今、軍事力を強める方向。なのに、学校で先生が子どもたちに『戦争は悪い』と言えるのか」

 戦友の大半が亡くなり、周囲に戦争体験を語れる人はいなくなった。「難しい時代に入った」