静岡県から取り寄せる食材もあるというおでん

 店に入ろうとすると、網戸越しに笑い声が漏れてきた。カウンター6席、テーブル席2組のこぢんまりした店内。JR宇都宮駅東の雑多な繁華街にあって家庭的な雰囲気が際立つ。「いろんな悩みがあっても、おでんでも食べて元気になってほしいのよ」。切り盛りする渡辺祐子(わたなべゆうこ)さん(64)が笑う。

 静岡市出身の渡辺さんが作るおでんは「基本に忠実」。だしは、丁寧に下処理した牛すじと酒、しょうゆで仕上げる。黒褐色の見た目と、牛すじのうまみが効いたあっさりとした味わいの差に驚く。

 とろとろの牛すじ(税込み200円)のほか、静岡県から取り寄せる黒はんぺんに大根、卵(同各100円)など10種類ほどの具材がどっぷりつかり、深みが増す。

 どの具材にも魚粉と青のりを混ぜた「だし粉」をかけ、香りとうまみをプラス。「駄菓子屋で売っているし、子どもが小遣いで食べる」と静岡県出身の常連客。本場の文化も栃木県民には新鮮だ。

 黒はんぺんのフライ(同180円)は、さくさくの衣、青魚のうまみと甘み、適度な弾力にはしが進む。黒コショウとからしをきかせた自家製ポテトサラダ(同400円)、大ぶりの肉団子(同480円)もお薦め。別の常連客は「魅力?何でも話せちゃう(渡辺さんの)人柄だよね」とハイボールを飲んで満面の笑み。暑くなるけれど、おでんもいいじゃないか。


メモ 宇都宮市東宿郷2の9の3▽営業時間 午後6時半~午前2時▽定休日 日曜▽(問)080・1210・0123