豊富な銘柄の日本酒に合う料理。「ライスワイン」に引かれた外国人も訪れる

 明治時代の蔵を改装した店内の空間は、情緒ある雰囲気で満たされ、日本酒への愛情と敬意が店と客の心をつないでいる。

 常時200~400種の日本酒がそろう。しかし、店主の下重勝美(しもじゅうかつみ)さん(45)に、銘柄の多さや希少性を誇る気は一切ない。香り、甘み、余韻などの酒質やつまみなど客の好みに応じて提供する。「日本酒は一期一会。その人にとって最高の酒を見つけてほしい」と願う。妻和恵(かずえ)さん(34)も「おいしくない日本酒はないし、順位もない」。酒蔵への感謝もにじむ。

 刺し身、焼き物、おばんざい-。料理も日本酒に合うものを厳選して作る。季節、食材に応じメニューは日ごとに変わる。アユの南蛮漬け(税別680円)は唐辛子の辛みと酢がアユの味わいを引き立て、チタケの煮びたし(同480円)は独特の風味が生きる。新イカと新子のすし(同680円)は「今の季節だけ」の逸品だ。

 ここまで食べておきながら、下戸であることをわび、「助っ人」で同伴した先輩記者を見る。「澤姫」の特別純米、「マルマス米鶴」の純米吟醸、「熟露枯」の山廃純米吟醸を次々と堪能している。深い感想を求めたが「うまいよ」「すっきり」「これは飲めちゃう」しか言わず、初対面の隣の客と馬刺しを分け合っている。仕事を忘れた笑顔が、店の魅力を象徴していた。

 ◆メモ 宇都宮市大通り5の2の8▽営業時間 午後6時~午前0時▽定休日 日曜▽(問)028・612・4992