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(5)「インタビュー」 紙屋克子さん(筑波大名誉教授)に聞く 国は実態把握急げ(2009年1月24日 05:00)
医療、福祉のはざまで必要な支援を受けられないまま長期療養を余儀なくされてきた遷延性意識障害者と家族たち。看護の視点から意識障害者の援助、支援に取り組む筑波大名誉教授で医学博士の紙屋克子さんに現状と課題を聞いた。 −遷延性意識障害は回復しないのですか。 「レベルはさまざまですが、高い確率で変化し、回復する例も多くなりました。食事や車いすでの散歩、排せつも時間通りにできたり、何らかのサインでコミュニケーションとか…。回復に時間がかかったり、方法論も確立されていなかったため、これまで研究や取り組みが少なかった。さらに、医師が医学的に回復は難しいと判断してしまうと、リハビリなどのコメディカルスタッフ(医師以外の医療従事者)は法的にも活動することができません」 −どんな原因で障害になるのですか。 「従来は交通事故などによる若年層と高齢層の脳血管系疾患と、二つの山があると考えられていました。ところが三十歳代から五十歳代にかけて循環器系疾患によるもう一つの山があることが分かりました。循環器科の患者は脳外科には来ないので埋もれていたのです。高齢者には介護保険がありますが若年者、とりわけ交通事故以外の人は救済制度がないのが現状です。新たな山の人たちはフォローすらされていなかったのです」 −どのような支援制度が必要でしょうか。 「原因、年齢を問わず、必要な介護サービスを受けられる制度が必要です。意識障害があるような重症者が在宅に移るというのは十年ほど前まで考えられませんでした。在宅になると介護の多くは家族に委ねられ、本人から離れることができません。家族の負担は大きく、また介護は長引きます。遷延性意識障害者は推定で全国に約三万五千人いるといわれています。いくつかの都道府県が実態を調査した結果から推計される数字です。国は少なくともここ三十年近くは調査すらしていません。本人は意見を表明できず、家族も介護から離れられないので、社会に訴える活動に参加できません。それが、彼らの声が国や行政に届きにくかった理由です」 −回復を支える具体的な実践はありますか。 「独自の看護プログラムを全国の拠点病院五カ所で実践し、成果を上げています。われわれが作成したプログラムを、トレーニングを受けた担当看護師が毎日の変化を見ながら四週間、集中的に行います。例えば食べるための舌の動き、発声のための呼吸法など、脳が再学習できるようにケアを提供します。急性期に行えれば遷延化や重症化が防げるのです。回復期でも効果はあります。ただ在院日数が短縮している現状では病院の自己負担が出てしまいます。看護をきちんと診療報酬で点数化することが必要です」 −障害を取り巻く実情が一般に理解されていませんね。 「人は体験、知ることで理解するので、現状ではやむを得ないかもしれません。すべての動物は子育てをしますが、年老いた人や弱い人に手を差し伸べるのは、人間だけが行う最も人間らしい営みです。意識障害者への支援の必要性も、実情が知らされれば理解されると思います」 [写真説明]遷延性意識障害について「高い確率で変化し、回復する例も多くなった」と話す紙屋克子さん=茨城県つくば市の筑波大
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