隊員たちの軽快な演奏に大きな拍手が沸く。グッズ売店には人だかりができ、カレーライスを調理・配布した炊事車は長い行列が取り囲んだ▼憲法記念日から間もない先週末、宇都宮市の中心街で、自衛隊栃木地方協力本部が活動をPRするイベントを開いた。好天に恵まれた会場は家族連れなどでにぎわい、のどかさに包まれた▼憲法改正で9条への明記を巡り渦中にある自衛隊。県内でも改憲派、護憲派の双方が活動を展開している。しかし懸命な訴えとは裏腹に、県民の盛り上がりはいまひとつだという▼同様のイベントによく訪れる同市内の会社員男性(42)にとって、自衛隊は「身近な存在」であり、改憲論議の中で懸念される戦争との関わりは「結び付けるのが難しい」という。一方で「国民を守るためなら」と一定の理解も示す。明記の是非は「正解はない。どちらも正しい」と迷っている▼同じような心持ちの県民は多いだろう。しかし一人一人が判断を迫られる時は、いずれ来る。楽しい催しで隊員たちと談笑する傍らで、考えていかなければならないテーマだ▼会場の片隅では、若い隊員が自分たちのテントを空けて、車いすの子に日陰を譲るというほほ笑ましい姿があった。そんなほのぼのとした光景があふれる、平和な世の中が続くことが、万人の願いなのだが。