かつてロック少年だった筆者にとって、米楽器メーカーのギブソン社が経営破綻したというニュースは衝撃だった。特にギターは故ジョン・レノンさんやジミー・ペイジさんら著名アーティストが愛用していたことでも知られ、そのサウンドはロックの歴史を彩ってきた▼そんな米音楽業界に昨年、変化がみられた。ラップなどのヒップホップやR&Bの売り上げがロックを抜き、初めて首位に立ったと小紙報道にあった。新たな波に乗り切れない中高年の音楽愛好者は少なくないだろう。老舗メーカーへの影響も想像に難くない▼時代の流れに追い付けずにいるという点では官僚も一緒なのだろうか。財務省が先日、セクハラ問題を受けて幹部職員の研修を実施した。「財務省の感覚と世の中の常識が非常にずれている」。講師を務めた弁護士の見解である▼「永田町の常識は国民の非常識」。国会周辺ではこんな言い回しも聞く。国の中枢と庶民の世界の乖離(かいり)を皮肉ったもので、言い得て妙だ▼福田富一(ふくだとみかず)知事は先月の記者会見で、首長や職員の心得について「県民がどう思うか、常に考えて行動すべきだ」と語った。もっともな指摘である▼官僚らの心構えが、緩み切った弦のようでは困る。一刻も早く締め直して、ギブソンギターのような絶妙なハーモニーを霞が関で響かせてほしい。