「はしかのようなもの」との言い回しがある。誰もが一度は通る道、といったところか。還暦間近の筆者の世代だと、幼少期に多くがかかった病。だが、現代日本ではほぼ封じ込められており、今や死語になりつつある▼そのはしかがこの春、沖縄県を中心に流行した。麻しん(はしか)ウイルス由来の病は厄介なことに空気感染し、インフルエンザの10倍もの感染力があるそうだ。台湾からの旅行者が沖縄県で発症し、たちまち全国各地に広まった▼幸い本県では患者の発生はなく、この5年間を見ても3年前に1件の報告があるだけだ。ただ、油断は禁物。グローバル化に伴い、流行がいつ本県に飛び火しても不思議はない▼県保健福祉部によると、10代以下の県民は2度のワクチン接種を受けており、免疫はできているという。過去にかかった人も大丈夫。懸念されるのは病歴が不明な人、1度しか接種していない場合も若干の不安が残るそうだ▼唯一の予防策はワクチン接種だが、乳幼児向けの定期接種以外は自己負担だ。結構な費用はかかるが、高熱に浮かされ、千人に一人といわれる致死率を考慮すればやむを得ないか▼むやみに恐れることはないが、正しく理解することは必要だ。世界的にはごくありふれた感染症であり、はしかそのものが死語になるのは未来の話である。