バラの季節はもう少し先だが、バラ色に彩られた話題と言ってもいいだろう。県内で工業団地の売れ行きがすこぶる好調だという▼雇用の場を確保でき、税収も上がり、地域経済に貢献するとして工場誘致は自治体にとって最優先の産業政策である。首長選で候補者はこぞって公約に掲げ、文字通りバラ色の未来を熱っぽく語ってきた▼景気低迷や海外移転の動きもあって、工業団地分譲を巡る県内情勢は長く冬の時代が続いた。その象徴の一つが、県企業局が手掛けた矢板南産業団地である。高速道路のインターチェンジに近く交通の便は申し分ない。緑あふれる環境もすばらしい▼なのに売れない。苦肉の策で過去には太陽光発電所を誘致もした。状況が一変したのは昨年夏。7年ぶりに自動車部品メーカーが進出を決定し、その後も4社が相次いで契約にこぎつけた。今、分譲率は8割近くに達する▼引く手あまたで県内の工場用地は不足気味。新たに上三川、芳賀両町で造成に向けた調査が続き、他の市町も計画中と聞く。肌感覚では景気低迷が続くが、企業の設備投資意欲は極めて旺盛なのだ▼課題は人手不足である。新規工場の開設に伴い、既存工場からの引き抜きがあってはもめ事の元。容易ではないだろうが、移住者を本県にどんどん呼び込めれば地方創生も進むのでは。