〽すべての人々が一つになる鍵は、あなたがずっと前に見ていた夢の中にある…。米黒人歌手スティービー・ワンダーさんが公民権運動の指導者マーチン・ルーサー・キング牧師をたたえて歌った「ハッピーバースデー」の一節だ▼「私には夢がある」。牧師は1963年夏、人種差別の撤廃を訴えたワシントン大行進で、非暴力運動による融和の実現を呼び掛ける歴史的な演説を行った。翌年、公民権法が成立し、ノーベル平和賞を受賞したが、68年、米南部テネシー州メンフィスで暗殺された▼キング牧師の誕生日に近い1月の第3月曜は米国の祝日となった。ワンダーさんの歌は祝日化を後押しするためのキャンペーン曲だった▼暗殺から50年を迎えた4月4日、全米各地でキング牧師をしのぶ記念行事が行われた。公民権運動で人種差別は制度上撤廃され、2009年にはオバマ氏が史上初の黒人大統領になった。だが白人警察官の黒人射殺事件が相次ぐなど、人種間の対立はなお深刻だ▼少数者や弱者への差別は米国だけではない。欧州では中東からの移民排斥の動きがあり、日本でも在日韓国・朝鮮人へのヘイトスピーチや福島第1原発事故の避難者への差別が起きている▼狭小で感情的な差別意識を容認してはならない。キング牧師の夢を今こそしっかりと見つめ直した