「盆暮れ正月」。どんなに忙しくても年に2回は休息を取ろうという意味も込められているのだろう。13日から始まる月遅れのお盆は、真夏の酷暑で疲弊した体を癒やすにはうってつけの時期である▼ところが栃木市など県内のごく一部では新暦のお盆が習わしとなっている。7月13~16日にかけてのお盆は、全国的にも東京などわずかな地域でしかみられない▼この頃は農家にとって田の草取りなどが立て込む農繁期で、お盆どころではなかった。詳細は不明だが大きな商家が軒を並べた栃木市は、東京との交流が盛んでお盆の時期も花の都に合わせたのではないか▼県立博物館で民俗学を担当する篠崎茂雄(しのざきしげお)学芸員によれば、2大行事であるお盆と正月には共通点が数多くあるという。一例を挙げれば先祖の霊をもてなすため、花や餅などを供える棚を設けた。盆棚に正月棚である▼本県に伝わるユニークな風習では那須や芳賀地方の高灯籠が挙げられる。竹の先に木製の灯籠をくくり付け軒先に立て掛ける。家人が亡くなって3年間は続ける。新米の霊が自宅にちゃんと戻れるよう目印にしたらしい▼都市化や核家族化でお盆にまつわる習俗は年々廃れていく。「精神文化を継承していくには行事のいわれをまずは知ること」と篠崎さんは言う。盆休みに家族で調べてみてはどうだろう。