大学生の2人に1人が奨学金を借り、返せない人も増加傾向だ。「奨学金は戦後の右肩上がりの経済成長を前提としているが、その前提はもう崩れた」。こう指摘する奨学金問題対策全国会議事務局長の岩重佳治いわしげよしはる弁護士に課題や改善策を聞いた。

1958年生まれ。東京弁護士会所属。日弁連貧困問題対策本部委員(女性と子どもの貧困部会)。東京都出身。

 -日本の奨学金制度の特徴と問題点は。

 「諸外国で奨学金と言えば返済不要の給付型を指し、貸与型は学資ローンと呼ぶ。日本は貸与型が大半だ」

 「学費が高騰する一方、家計収入は減少している。大学に行くとなると、奨学金を借りるしかないケースが増えている。無利子枠は限られ、有利子枠が拡大したことで負担も大きくなった」

 「雇用環境の悪化で返済も難しさを増している。返しても延滞金や利子に消え、元金が減らないことも少なくない。返済猶予など救済制度も不十分な半面、回収は強化された。こうして苦しい人はさらに追い詰められ、結婚や職業など人生の選択肢を失いかねない。自力ではどうにもできず、構造的に生み出された被害者だ」

 -問題の背景は。

 「学費高騰は(大学への政府補助金など)公的支出が削減されてきたから。背景には利益を受けた人が費用を払う『受益者負担』の考え方がある。しかし教育は社会の人材を育てている点で、受益者は社会全体のはずだ」

 -改善策は。

 「教育の機会均等を目指すというのなら、所得の再分配として税金を使ってやるべき」

 「返済困難な人の実情に合った柔軟な救済制度が必要。所得に応じて無理なく返済できる制度の充実などを考えなければならない。個人保証をやめ、負担の大きい利息や延滞金もなくして、無利子枠を広げるべきだ。貸与型があるのはある程度やむを得ないが、給付型を拡充してほしい」

 「財源は限られている。奨学金も含め生活困窮に陥る前の支援が早いほど、自立できる人が増え、後の社会保障費や少子化の抑制など社会的効果を生み出せる。まず政府がその試算を示せば、財源確保につながるはずだ」