高校生の合同就職面接会。経済的理由で進学をあきらめた生徒もいた=2013年11月、宇都宮市内

 「奨学金を借りて進学しても、就職できなかったら返せない。そんなことになるなら、いま就職した方がいいと思って…」

 2013年11月、宇都宮市内で開かれた高校生対象の合同就職面接会の会場。

 参加した定時制高校の男子生徒(19)は、もともと進学希望だった。だが家計は厳しく、親から「進学するなら全部自分で払って」と告げられたという。

 「給付型の奨学金を受けられるのは各校で1人くらい。貸与型でも無利子は人数制限がある」と引率の教師。「本当に厳しいです」

 1月施行の子どもの貧困対策推進法が目指す「教育の機会均等」。奨学金の目的そのものだが、実態は違う。

 学費の私費負担の重さが、背景にある。

 授業料と入学料を合わせた初年度納付金は、国立大で現在約82万円(標準額)、私立大平均で約132万円(12年度)。授業料は30年前と比べ国立で倍増、私立は約1・8倍に膨れあがった。

 「物価上昇率をはるかに超えて上がっている。(政府補助金など)公的資金がカットされて、学生側が負担する形になっている」と奨学金問題対策全国会議事務局長の岩重佳治いわしげよしはる弁護士は指摘する。

 経済協力開発機構(OECD)によると、10年の日本の公財政支出に占める教育費の割合は9・3%で、32カ国中31位と低い。一方、大学など高等教育に対する私費負担は65・6%で30カ国中4位。

 進学率が上昇し国立大定員が抑制される中、進学者の多くが学費の高い私立大に入る。こうした事情も、私費負担の割合を押し上げているという。

 家庭の経済状況の厳しさに対応するはずの奨学金。家計が苦しいほど借りるのをためらうのが現実だ。