ひとり親家庭の子どもの学習を1回200円で支援する「寺子屋いっぽ」。教えるボランティアが不足するほど、ニーズが高まっている=宇都宮市内

 高校受験は誰でもできる-。それが当たり前でない状況をも、貧困はもたらす。

 98%を超える県内の高校進学率。なのに、本紙調査によると、生活保護受給家庭の子では84・2%にとどまっている。

 その差約15ポイントの中の子に何が起きているのか。

 母親が深夜まで働き詰めで、弟、妹と子どもだけで過ごす不安から、勉強が手に付かない祐汰ゆうた君。第2章で取り上げた県央の中学2年生。

 学費が高い私立高には進学できない。「県立高に合格しなければ、高校に行けないかも…」。不安が強まった。「勉強しても仕方がないのかな」

 塾に通う余裕もなかったから、母親から「ボランティアが勉強を教えてくれる場所がある」と聞き、即答した。

 「行くっ」

 学習支援を受けて「勉強が分かる」と感じられ、「頑張れそう」と思えるようにもなった。

 宇都宮市の父子家庭に暮らす16歳の少年。定時制高に進もうとしたこともあるが、高校には通っていない。進学のことなど頭にないように、求人情報誌をめくり続けた。

 本年度、県内7市町で始まる学習支援。学ぶ意欲を支えるため、速やかに全市町で行うべきだ。

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 「結局、お金がないと、どうにもならないじゃないですか」。県北でアルバイトを掛け持ちし家計を担う由衣ゆいさん(仮名)は記者に言った。定時制高3年だった。

 全日制高も合格圏内だったのに、ひとり親の母は制服代などが払えなかった。定時制高に入り「進学のため」と寝る間も惜しみ働いて、心身ともに追い詰められた。

 授業料を払えず、私立高を卒業目前で中退した宇都宮市の女子生徒もいた。

 政府総支出に占める教育費の割合は、先進諸国で最低水準。その分、家計に負担がのしかかる。

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 第6章の取材。子どもの貧困対策の先進地、英国を訪れた。

 「教育は貧困の連鎖を断ち切る」。こうした意識が対策に携わる人々に共通していた。だから、戦後最大の財政赤字を抱える今も教育費だけは削っていない。

 「覚悟」を感じた。

 小中学生に学用品代などを補助する日本の就学援助制度。「三位一体改革」で国の補助が削減され、市町間に格差が生まれている。

 大学生なども含め奨学金は給付、無利子型は少なく、有利子型が増え続ける。「必要な時に間に合わない」という声も絶えない。

 母子家庭を支援する宇都宮市の宮路順子みやじじゅんこさん(58)は願う。「どんな方法でもいいから、子どもが学校に行けるように」

 教育への投資は将来への投資。その枠組みづくりは急務だ。