母子寡婦福祉資金の支給が間に合わず、知人に立て替えてもらった娘の高校入学金などの領収書=6日、栃木市内

 「必要な時に間に合わないと意味がない。ありがたいんだけど…」

 介護施設に正職員として勤務する栃木市の小林洋子こばやしようこさん(52)=仮名。娘(16)を産んでまもなく離婚し、今は母子2人で暮らす。月収は夜勤をしても20万円に満たず、家賃を払うと、生活にゆとりは持てない。

 2013年3月。娘の高校進学に当たって、県の「母子寡婦福祉資金」の利用を申し込んだ。

 入学時、要件を満たせば一時金約40万円を無利子で借りられる。

 娘は県立高を不合格となり、私立高に入学金などを納めなくてはならなかった。期限は翌日だ。一度に30万円ほどが必要。後日とはいえ、制服代も含めると、50万円近くになる。

 福祉資金が入るのは申し込みの翌月末が基本。

 夏のうちから市役所の窓口に相談し、借りられる見通しは立っている。でも正式な手続きは進学先が決まるまで進まなかった。

 私立単願であれば早めに申請でき間に合うが、県立の合否が分かってからでは、受け取れるのは4月末になってしまう。

 蓄えはない。でも、払えないと高校に行かせられない。

 「消費者金融で借金するしかないかも」

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 窮地に陥った洋子さんは、宇都宮市の宮路順子みやじじゅんこさん(58)に相談した。

 県内で長年、母子家庭支援を続けるNPO法人コドモネットらくだーずの代表を務める。

 「制度が対応しきれないのなら、共感してくれる人たちの善意に頼るしかない」。数人の知人に呼び掛けて、お金をかき集め手渡した。

 「だって、洋子さんは返せる見通しが立っている人でしょう」。福祉資金が「担保」。4月になれば、お金は入る。

 ようやく洋子さんの娘は県南の私立高に入学でき、もう2年生になった。授業料などは月3万円の無利子の奨学金で賄っている。

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 「同じ思いをしている母親は大勢いるんです」と宮路さん。

 「前もってためればいい」と言われる。でも、目先のお金にきゅうきゅうとしている人は多く、保証人が見つけられず利用できない人もいる。

 一方で、進学先が決まらないと、貸し出さない制度の理屈も分かる。「いくらかかるのか、はっきりしないと貸せないだろうし…」

 高校側が納金を待ってくれる、緊急貸し出しの上限額を引き上げる…。

 どんな方法でもいい。子を持つ母親に支援が届くこと。

 大切なのは、そんな「当たり前のはずのこと」だと宮路さんは思っている。