リスク管理し着実成長

 鹿沼市の住宅街に、ひときわ目を引く建物がある。木材をふんだんに使った印象的な本社兼店舗は、2015年に開設したものだ。東日本大震災で事業の先が見えない経験をし、店舗新設を5年前倒しした。「不景気は常に覚悟していたが、地震で自動車が造れないのは想定外でした」と振り返る。もともと20年に新社屋建設を計画していたが、悩んだ末に踏み切った。「販売層を増やしたかった。それに自分を奮い立たせようと思いました。鹿沼は木工の街ですし、地元貢献のためにと施工は地元企業だけにお願いしました」

 栃木トヨペットの特約店としてトヨタ車を中心に全メーカー車を扱う同社は、個人・法人に新車・中古車を販売し、大量販売につながる上場大企業への新車販売も行っている。「中小企業はフットワークの良さと気配りが大切。それが信頼につながります」と強い自信をにじませる。

 「経営ノウハウも自動車販売も学んだことはありません。全て独学です」。それゆえに経験で培った確固たる経営哲学を持つ。経営者に必要なのは「先読み・会計・決断力・ぶれない」こと。しかし、それ以上に「リスク管理が不可欠」と断言する。「私がいつも肝に銘じている言葉があります。『築城3年落城1日』。常に危機感を持ち、それに備えていたからこそ、ぶれずに決断できました」。難しい言葉を使わず簡潔に話すなど、社員教育も独自の信念を持つ。中でも会計事務の教育には格段の力を注ぐ。一方で、仕入れ業者への支払いは木曜締め金曜払いの現金決済を行い、仕入れ先の負担を減らす気配りも怠らない。「『共存共栄』の精神を大切にしています。この言葉は、ある恩人に教わりました。本当に良い言葉です」

 今年は、展示スペースを増やし、特に新車に力を入れていく構えだ。「10年後、後継者に確かなバトンを渡すためにも、これまで以上に全力で臨みます」。その視線は、しっかりと未来に向けられていた。