未来へ 変革の種をまく

 印刷業界は、世の中の動きに大きく左右される。企業の広告宣伝費は景気に左右され、官公庁からの仕事は法律に左右されることが多い。「どのような状況下でも粛々と自分たちの使命を果たしていくことが我々の仕事です。今後、印刷が全くなくなるとは思っていませんが、形を変えていかなければいけないと強く感じています」と真摯に受け止める。

 「設備産業」と言われていた印刷業界だが、機械を導入すれば仕事が頂けるという時代は終わりを迎えた。厳しい状況が続く中、今後どう展開していくのかが鍵となる。「受注産業ではなく、自ら仕事をつくり出せる企業になっていかなければ」。強い使命感を口にすると同時に、「こういう時代だからこそ『地域密着』の姿勢をより強調していきたい」と力を込める。そんな地域への思いを体現したのが、県内の広報誌がWeb上で閲覧できる「TOCHIGI ebooks(イーブックス)」の運営である。ebooksとは、地方自治体の広報誌を無料で掲載・閲覧できる地域特化型電子書籍のポータルサイト。昨年2月のオープン以来、10市町と契約を結ぶに至った。「春までに県内全市町と契約を結ぶことが目標です。その後は閲覧数を伸ばす活動をしていきたいですね」と意欲的だ。

 また、今年早々にはオリオンスクエアの東側に「閑居洞(かんきょどう」という文化や芸術のサロンをオープンする。2階はギャラリーに、1階は日本茶を飲みながら県内の出版物が閲覧できるカフェスペースとなる予定だ。「カルチャースクールなども実施して、若い方から高齢の方まで、さまざまな世代が集える文化・芸術の発信地になれたら」と展望を描く。

 「今は種をまく時期。それが少しずつ芽吹き、必要なものを残し、そうでないものを間引いていきながら大きく育てていきたい。あっちもこっちも節操なくやっていきますので楽しみにしていてください」。創業51年目。新しい井上総合印刷の確立に向け、変革の一歩を踏み出した。