建築の質の向上を追求

 建築物はクライアントの所有物であると同時に、地域で暮らす人々にとっては風景であり、生活の場でもある。「方針に掲げる『建築の上質な品質確保を確実に実行する』ための体制を、今まで以上に整えていく一年となります。社会的環境配慮・改善を前提とした、顧客満足、建築の質の向上の追求を図っていきます」と言葉に力がこもる。

 本県を代表する二つの建築コンサルタント「荒井設計」と「鈴木公共建築設計監理事務所」が2014年9月に合併し誕生した「AIS総合設計」。その融合は着実に進んでいる。「もともと違う社風、仕事のやり方、考え方を持った異なる会社でしたので、それぞれの個性を生かすために組織改編などを積極的に行ってきました。その結果、一人一人が力を最大限発揮できる、収まるべきところに収まってきたように感じます」と確かな手応えに笑みもこぼれる。

 新国立競技場の大幅なコストアップなど、業界は大きな問題に直面した。そんな中、昨年から日本建築士事務所協会連合会の副会長に就任。「国との対話を通して、業界全体の業務環境の改善、公共工事のための発注者支援、建築士のコスト管理能力の向上などに努めたいと思っています。業界の発展があってこそ、その中にいる私たちの発展があります」

 東京五輪後に予想される建築不況を見据え、全国展開も模索する。「国内どこでも受注できる体制と拠点作りに、より力を入れていきます」。さらに大量に供給された建築物を長期にわたり有効活用していく「ストックの時代」を迎え、建物の改修、保全などへの対応力の強化も図る方針だ。

 2022年の栃木国体の舞台となる総合スポーツゾーンの新スタジアムと総合武道館の設計も手掛けた。「県民の皆様が注目しているものであり、大変光栄に思っています。皆様に認めていただける、見て心地の良いものに仕上がると確信しています」。本県のレガシーになるであろう建築物の竣工(しゅんこう)も待ち遠しい。