注目される光ナノテクノロジー
「立体テレビ」を作る
光通信が進歩することで、インターネットやIP電話など生活の利便性が増した。そして今、注目されているのが光ナノテクノロジーだ。近藤直樹先生はこの技術を利用して、3次元映像を映し出す研究を進めている。
◇ ◇
「もともとコンピュータが好きだったんですよ」。近藤先生は高校時代からパソコンを使っていたこともあり、東京大学工学部電子工学科に進学、ハードウェアを学ぶ道を選んだ。
大学院では、ナノメートル寸法(ナノはミリの百万分の一の大きさ)の構造を持つ光電子素子を利用して、これまで実現できなかった、より高速な通信を可能にしようと研究を行った。帝京大学に籍を移した今は、光ナノテクノロジーを利用した新しいイメージング機器を開発している。
例えば、いろんな視点から見た画像を一度に撮影するデジタルカメラ。このような機器で立体的に情報を取り込むことができれば、日常の記録はもちろん、犯罪捜査や研究の記録・解析にも役立つだろう。医療分野からの期待も大きい。
表示例では現在、すでに水平方向に立体感を持たせた映像を表示する技術は存在している。ところが、現在の技術で十分な解像度を得ようとすると、装置の量と費用が膨大なものになってしまう。そこで、近藤先生の研究室では光ナノテクノロジーの技術を使って、高解像度で3次元の情報を再生できる新しい機器を作ろうとしている。
近藤先生はこの技術を人文科学の分野にも生かしたいという。世界遺産のような歴史的建造物を3Dスキャンして、デジタルデータにする計画が現在、世界中で始まっている。こうすれば貴重な遺跡を、立体構造でまるごと保存できる。これらをバーチャルリアリティーの世界で復元し、その中を歩くことができるようにしたいと考えている。
映画の世界でしか実現できなかったような未来型社会が現実になる日も、それほど遠くはないだろう。
こんどう・なおき 2002年、東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程単位取得退学。同年より東京大学生産技術研究所にて産学官連携研究員等として勤めた後、07年より現職。博士(工学)。
帝京大学宇都宮キャンパスへのお問い合わせは電話028・627・7111へ。