朝夕がひんやりとする今頃はブドウがおいしくなる季節です。ブドウは「秋の味覚の王様」とも言われています。栃木市大平町、同市岩舟町などの県南部を中心に栽培されていて、特に大平町では大規模なブドウ団地が形成されています。このブドウ団地は「北関東最大規模の観光農園」とも称されています。このブドウ団地の一角にある「野の香ぶどう園」ではブドウ狩りと直売を行っています。同園を経営する猿山喜代実(さるやまきよみ)さん(54)は10年前に、母スミイさん(80)から農園を引き継ぎました。

大切な摘粒作業

 それまでは宇都宮市の会計事務所に勤める会社員でした。「会社員時代はデスクワークで土日は休みでしたが、生活がガラリと変わりました。早起きになりましたね」と笑います。

 ブドウ栽培で一番手間がかかるのが「摘粒」という作業です。ブドウの一房には50から60の粒がついていますが、それを30粒程度に減らしていきます。一房一房、手作業で行わなくてはなりません。この摘粒作業で味も糖度も決まるといいます。「うちのブドウは化学肥料とたい肥を合わせて使って育てているので、甘いと評判です。病気対策で農薬をなるべく使わないように注意しています」

最盛期は行列

 猿山さんの農園では、シャインマスカット、巨峰など6種類のブドウを栽培しています。ブドウ狩りのピークは9月ですが、土日になると行列ができるほどお客さんでにぎわいます。「リピーターのお客さんに支えられています。前の年に来てくれたお客さんから『去年のブドウおいしかったよ』と言われることほどうれしいことはありません」。猿山さんはそう語ります。販売は妻の文子(ふみこ)さん(50)が主に担当します。文子さんは「お客さんとのふれあい、何気ない会話が楽しいですね」と話しています。

 猿山さんにブドウのおいしい食べ方を伺いました。「シャーベットにすると、冬でも食べられます。味も濃くなっておいしいですよ。でもやっぱりおいしいのはブドウ狩りをして、その場で食べるのが一番。ぜひ大勢の人に来てほしいですね」

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

●県内のブドウ 大平地区から岩舟地区にかけて大規模な「ぶどう団地」が形成。県内観光の一翼を担っている。水はけのよい畑で太陽の光を受けて育ったJAしもつけのブドウは大粒で甘く、食味も良いと評判だ。

●シャインマスカット 安芸津21号と白南を掛け合わせて育種された。種がなく、皮ごと食べられる。

次代を担う/JA佐野
和田 泰典(わだ・やすのり)さん(35)/安心安全なイチゴを

 大学を卒業後、11年間、神奈川で会社員生活をしていましたが、2015年、会社を辞めて実家の農業を継ぎました。神奈川では宿泊業関係の会社に勤務していました。箱根のホテルで宿泊予約の管理や接客に携わっていました。

 就農して2年がたちました。以前の生活との違いはありますが、相手の求める事を先回りして行動することは接客業に似ているかもしれません。

 会社員時代のホテルでの接客業では、お客様を相手にする仕事でした。お客様は人ですから、要望などを会話で私たちに伝えてきます。しかし農作物は当然のことですが、無言です。特にイチゴは病気にかからないように管理することが重要です。しかし、どこが悪いかは伝えてくれません。病気にならないように先回りして対策をとらないといけません。

 とちおとめとスカイベリーを栽培しています。長い育苗の時期を経て、白いイチゴの実が少しずつ赤くなっていくのを見るとやりがいを感じます。これからも安心、安全なイチゴをお届けしたいですね。