白、紫、黄色、ピンク、ブルーと豊富な花色を持つトルコギキョウ。その美しさは切り花の御三家と呼ばれるキク、バラ、カーネーションにも勝るとも劣りません。さらにその花色の美しさに加え、花の形も一重咲きや八重咲き、枝分かれして一本の茎に多くの花を咲かせるスプレー咲きと多様です。開花時期も早生、中生、晩生がそろうなど、バラエティーに富んだ品種も特徴です。冠婚葬祭や観賞用の切り花として高い人気を誇ります。



▽異業種からも就農増

 県内の生産の中心は足利市で出荷量、販売額ともにトップです。冬の日照に恵まれていることから、県内でもハウス栽培などの施設園芸が特に盛んな地域です。1990年ごろから市南部を中心に生産が始まり、徐々に各地に広がりました。JA足利花き部会(17人)では積極的に勉強会を開催するなどし、生産技術の向上を図っています。異業種からの新規就農者も増え、出荷量、販売額は10年前と比べ4~5倍ほど伸びています。

 同市稲岡町のビニールハウスでトルコギキョウを栽培している、久保田剛(くぼたつよし)さん(33)は昨年6月からトルコギキョウの栽培を始めた新規就農者です。設備関係の会社の新規事業としてトルコギキョウの栽培に取り組むことになり、設立された株式会社カラフルファームの代表取締役として農業に取り組んでいます。

 2年前から同部会の会員の下で指導を受け、今季、初めて自身の手で育てたトルコギキョウの出荷にこぎ着けました。「新規参入者に対しても部会員や関係機関の皆さんがとても温かく迎えてくれました。分かりやすく熱心な指導のおかげで、初めてのシーズンですが、順調に出荷できています」と久保田さん。

▽連作障害防止が課題

 トルコギキョウは連作障害を起こしやすいので、栽培は6月末ごろにハウス内の土壌全体に水を張り、連作障害を引き起こす毒素を除去することから始まります。その後、夏の太陽の強い日差しで土壌の殺菌消毒を行い、有機肥料を微生物によって発酵させたボカシ肥料を施した後、耕起して畝を作り、そこに一本一本手植えで苗を定植していきます。その後3カ月ほどで出荷できる状態になり、約半年間にわたり出荷できます。

 トルコギキョウの魅力は高級な質感と色鮮やかで大輪の花です。「温度管理と水やりはとても重要です。とにかく、花やつぼみ、茎や葉、土、天気をしっかりと観察することが大切だと思います。ベテランの生産者の方を見ると、その観察力に驚かされます」と久保田さんは話します。

 農業は初挑戦の久保田さん。初めて自身のハウスでトルコギキョウが咲いた時は「ほっとした気持ちと同時に、その美しさに『農業に挑戦して良かった』と心から思いました。花は何か大切な場のために購入されることが多いと思うので、皆さんの特別な瞬間を彩れるような、良い花を作り続けていきたいです。将来的には、障害を持った方や、社会的弱者の方など、誰もが働けるユニバーサル農業を実践できる場を作っていければと思っています」と言葉に力がこもっていました。


◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • トルコギキョウの由来

    名前に「トルコ」と付くが、北米原産のリンドウ科の植物で、キキョウとも関係ない。名前の由来には、花の形がターバンに似ている、元々の花の色である青紫色がトルコ石を連想させる、キキョウの花の形や色と似ている-など諸説ある。

  • トルコギキョウの日本での歴史

    日本には昭和10年代に導入され、戦後、冷涼地を中心に栽培が盛んとなり現在最も人気のある洋花の一つだ。ほかの主要切り花の品種開発が主に海外の種苗会社によって行われているのに対して、トルコギキョウは、日本の種苗会社が新品種の開発や種苗の生産の主導権を握っている貴重な品目となっている。


次代を担う/JAなす南
高野寿人(たかのとしひと)さん(33)/環境変化への対応力養う

 祖父の代から続くトマト農家です。現在は連棟ハウス2棟で、那珂川町ブランド認定品にも認定されている「桃太郎トマト」を主力に作付けしています。甘味と酸味のバランスが良く、果肉の硬さなど食味に優れたトマトです。

 農家の三男に生まれ、高校は普通科に進学しました。しかし、先に兄たちが実家を離れたことから家業を継ぐことを決意し、栃木県農業大学校に進みました。卒業後、実家に就農し昨年、32歳で父から経営移譲を受けました。経営の中心となりましたが、現在も両親やパートさんに助けられながらの営農です。就農して10年ですが、まだまだ毎日が勉強です。

 当然ですが、トマトは言葉で「肥料が足りない」「水が欲しい」とは言ってくれません。どれだけしっかりと見て、判断できるかがカギになってきます。その部分ではまだ父には到底及びません。

 また、昨年9月の日照不足のように、近年はこれまでになかったような天候不順があり、従来のやり方だけでは対応できない場面もでてきました。常に品質の向上を目指し、自然や経済も含めて、取り巻く環境の変化にしっかりと対応していける経営者を目指していきます。


ようこそJAへ/JAなす南/地域で高齢者を見守り

 JAくらしの活動の一環でJAなす南は、行政と連携して「高齢者見守りネットワーク」を構築しています。地域で高齢者を見守り、異変を感じたら行政の相談機関に連絡する活動です。

 JAでは、全職員が見守り役である意識付けに、独自の活動を行っています。「ちょこっと見守り活動」は、2年前に始めました。毎月の組合員全戸訪問日で、高齢者単身世帯や日中一人になる世帯を訪問する際に必ず一声かけます。身体異常の早期発見や高齢者を狙った犯罪を未然に防ぐためです。管内には、385軒の対象世帯があり、職員は担当地区の対象世帯を把握しています。

 管内では、JA食材配達員が、食材を週3回利用する男性の異変に気づき、命を救った事例があります。お年寄りを始め、地域住民の豊かなくらしを支えるために、JAでは、今後も行政と連携した見守り活動を続けていきます。