立冬を過ぎ、木枯らしが吹き始めると日増しに寒さが厳しくなってきました。体が冷えてしまった日には、鍋物が恋しくなります。そんな鍋料理にお勧めなのが栃木市の一部地域で栽培されている「宮ねぎ」です。特徴的な甘さと食味が、心も体も芯から温めてくれます。

 宮ねぎは別名「ダルマねぎ」とも呼ばれ、栃木市吹上地区の宮町を中心に栽培されていることから宮ねぎという名称がついたといわれています。とちぎ地域ブランド農産物の認証を受けた伝統野菜で、一般的な長ネギと異なり、軟白部が太く短いのが特徴です。50年以上にわたり宮ねぎを生産しているJAしもつけ栃木ネギ部会の小林照男(こばやしてるお)部会長(72)=栃木市宮町=は「甘さと食味が魅力のネギです。霜に当たると、どんどん糖度が上がってきますので、この時季にぜひ味わってください」と太鼓判を押します。

▽1年以上かけ栽培

 宮ねぎは江戸時代から栽培されていて、当時は栃木の商人が江戸の役所に出向く時に持参していたそうです。その味や風味が買われ、江戸にお歳暮として贈る習慣が生まれたといわれています。現在も出荷の大半はお歳暮用となっており、なかなか市場に流通しないことから“幻のネギ”ともいわれます。

 宮ねぎは糖度が高く食味が良いのが特長で、火を通すととろりと甘くなります。鍋料理はもとより、すき焼き、天ぷらやねぎぬた、焼き鳥などがお勧めです。また柔らかく葉まで食べられます。

小林部会長の宮ねぎは、通常は収穫前年の10月ごろに種まきし、5月ごろ仮植、8月に定植し1年以上かけ育てられます。収穫期は11月下旬から12月下旬のわずか1カ月余りで、大変貴重なネギです。種から育て、水に弱い宮ねぎのために高い畝を作って植え付けし、農薬もほとんど使わず除草するなど、大変な手間をかけて栽培しています。

 ここ数年は猛暑が続き、8月に定植する際にネギが傷んでしまう事もあるため、5月に定植するように栽培法も変わってきたそうです。「50年余り栽培してきましたが、毎年が勉強です。この50年で『大満足』という収穫ができたのは3、4年かな」と小林部会長は笑顔をみせます。

▽次世代への継承課題

 現在は、同部会には小林部会長を含めわずか4人の部会員しかいないのが悩みの種です。小林部会長は「地域には各家庭で食べる分を生産している人はいるのですが、継続的に市場に出荷しようという人が少ないのが現状です」と話します。宮ねぎを次代に継承するために栃木農業高校などと連携したり、新たな宮ねぎ生産者を発掘するための新規栽培者募集なども行っています。小林部会長も「先祖代々守ってきたこの宮ねぎを、ぜひ次の時代にも残したい。そのためにも多くの人に宮ねぎを知ってもらいたいです」と話していました。


◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • ネギの歴史

    原産地の中国では紀元前から栽培され、体を温め疲労を回復する薬用植物として珍重されていた。日本へは朝鮮半島を経由して8世紀に渡来したとされていて、奈良時代の木簡や日本書紀にもネギの記述があり、古くから食用にされてきた。

  • 県内のブランドネギ

    秋から冬にかけて収穫されるネギを中心に、栃木県内各地でネギは生産されている。大田原市を中心に栽培されている「那須の白美人ねぎ」、宇都宮市の「新里ねぎ」、栃木市の「宮ねぎ」などの地場ブランドネギもある。全国各地でも「下仁田ねぎ」「千住ねぎ」「九条ねぎ」などさまざまな伝統ネギが栽培されている。

  • おいしいネギの選び方

    葉が鮮やかな緑色をしていて、指で触ったときに弾力があり、巻きがしっかりとしているものがお勧め。


次代を担う/JA佐野/小林正史(こばやしまさふみ)さん(27)/
可能性感じるイチゴ栽培

 2013年に大学を卒業し、イチゴ農家を経営している父秀男(ひでお)のもとへ就農しました。

 大学では建築学を学んでいました。卒業後は海外の大学で勉強を積もうかと考えながらも、祖父、父らが守ってきた土地や農業を守りたいという思いも芽生えてきました。当時から交際していた妻とのこれからの生活を考えた時、できればずっと家族が寄り添って生きていけるような仕事がしたいと思い、就農を決意しました。両親に親孝行をしたいという気持ちも大きかったです。

 農業に携わってみるとその奥深さにとても魅力を感じます。現在、イチゴ60アール(とちおとめ37アール、スカイベリー23アール)と水稲2・45ヘクタールを両親、妻に加え親戚にも手伝ってもらいながら、主に家族経営で栽培しています。特に私はイチゴ栽培について力を入れて学んでいて、スカイベリーはとても可能性がある品種だと感じています。栽培データを「見える化」することで、イチゴの品種、作型それぞれの特性が収益、労働面にどのように影響するのかを調べています。

 まずこれから数年は栽培、経営両面の力をしっかりと付けたいと思っています。そして将来的には、ふるさとが産地としてますます成長する手助けができるような活動をしたいと考えています。


ようこそJAへ/JA佐野/野菜スイーツ教室開催

 JA佐野は平成29年2月18日、佐野の野菜を使った「しあわせスイーツ」の食育イベントを開催します。当JAは「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」として、組合員と地域住民とのつながり強化を進めておりますが、今回のイベントは、その一環として開催します。当日は、野菜スイーツパティシエの柿沢安耶さんを講師に迎え、クッキングショーとトークショーを行います。

 野菜スイーツは、野菜とスイーツを組み合わせた野菜菓子のこと。スイーツでありながら、ヘルシーであることから、若い女性や健康志向の人たちに人気です。

 スイーツの具材には、佐野地区で盛んに栽培され、「佐野そだち菜」の愛称で、地元では春を呼ぶ野菜として知られる「かき菜」などを予定しています。

 募集人員は100名、参加費は無料。会場は「ホテルマリアージュ仙水 別館」(佐野市堀米町)で、託児所の用意あり。募集時期はJA佐野のホームページ(http://www.jasano.jp)でお知らせします。お問い合わせは、JA佐野総合企画課電話0283・20・2361まで。