「夏の風物詩」と呼ばれるトウモロコシ。ぎっしり詰まった黄金色の粒々にかぶりつくと、プチプチという食感とともに口の中いっぱいに独特の甘みが広がります。県内では下野市、宇都宮市などが生産の中心地。本県産の2010年の収穫量は4580トン、出荷量は2450トンで、それぞれ全国で9位、10位に該当します。

 JAしもつけは、06年にオープンした「道の駅みかも」(栃木市藤岡町)の農産物直売所「万葉の里」で、多種多彩な地場産野菜の一つとしてトウモロコシを販売しています。地元の生産者10人が出荷していますが、毎年その先陣を切っているのが唯一ハウス栽培も手掛ける羽角トシエ(はすみとしえ)さん(65)=藤岡町甲=です。道の駅オープンに合わせて「このあたりでは珍しい野菜を直売所に出したい」とトウモロコシを始めたそうで、これからハウスでの収穫、出荷作業が本格化します。

 ▽露地でも早めの出荷  品種は現在主流の「ゴールドラッシュ」ではなく、あえて「味来(みらい)」を選択。「初めて食べた時に本当に甘くて感激したんです。小ぶりなので見た目はゴールドラッシュに及びませんが、味では決して負けません。皮も薄くて柔らかいんです」

 夫の皓夫(てるお)さんが21年前に亡くなるまでは、夫婦でトマトをハウス栽培していました。このため、井戸水をはじめ当時の設備がそのまま利用できることが大きいそうです。「ハウス栽培はなんでもそうだけど、トウモロコシも水をきちんと与えないと甘みが出ませんから」

 ハウス外での露地栽培でも、ほかの生産者より早めの出荷を心掛けているため、霜よけでビニールをトンネルのように巻く作業が欠かせないそうです。今年はハウス約300本、露地約700本の出荷が7月上旬までにすべて終わる予定。羽角さんは「早い時期に作れば、あまり虫による被害を心配しなくてすむんです。何より、早く新鮮なトウモロコシを食べたいというお客さんに喜んでもらえます」と話しています。

 ▽7月に初の「まつり」  やはり道の駅みかもに出荷するため、約5年前からゴールドラッシュを露地栽培している藤岡町赤麻の石川喜男(いしかわよしお)さん(75)ミサオさん(70)夫妻。今年は約3千本を育てており、7月10日から同月下旬までの間に順次出荷する予定です。

 2人がこだわるのは「鮮度」。出荷時期を迎えると毎朝5時に収穫してすぐに直売所に持ち込むそうです。喜男さんは「朝取りのトウモロコシはとにかくおいしい。虫対策など苦労は多いけれど、皮をむいて粒がぎっしり詰まっているのを確認した瞬間が何とも言えないんだよね」と柔和な笑顔になりました。

 道の駅みかもに常勤するJAしもつけ道の駅担当の石山好一(いしやまこういち)さんによると、トウモロコシの魅力をアピールするため7月15、16の両日、特売などを内容とする初めての「トウモロコシまつり」を開催するそうです。石山さんは「炭火で焼かなくても、生のものを電子レンジで温めてフライパンでしょうゆをかけて焼くだけで露天商と同じ香ばしさが楽しめます。お勧めですね」と話しています。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 名称 日本で標準的に使用されている「トウモロコシ」の名称。16世紀にポルトガル人から持ちこまれた際、以前から伝わっていた中国の植物「モロコシ」に似ていたことから「舶来」を意味する「唐(トウ)」を付けて呼ばれるようになったとの説がある。地域によって異なる呼び方がされており、「とうきび」(北海道、九州など)「なんば」(近畿地方など)など、200種類以上にも及ぶとされる。

  • 選び方 皮が濃い緑色で、ひげや軸の切り口がみずみずしいのが新鮮な証し。収穫後、時間とともに糖分が減少するので、早めに食べること。生の場合、皮付きのままラップをかけ、冷蔵庫に立てて保存。ゆでてからラップに包み、冷凍庫でも保存できる。


 コラムオアシス TPPと国益/「米国基準」に危険性

 菅直人(かんなおと)前総理が一昨年、米国オバマ大統領を訪問後、突然TPP(環太平洋経済連携協定)参加を進めると表明し、「平成の開国」「第三の開国」と世論をあおりました。さらに、ある大臣は「GDPが1・5%の一次産業を守るため、98・5%を犠牲にしている」とまで言い切りました。とんでもない話です。
 閉鎖的と言われつつも、日本は世界で最も「開国」された国です。それを端的に示すのが、カロリーベースで40%という、先進国で最も低い食料自給率です。政府は「食料・農業・農村基本計画」で50%まで引き上げる政策を進めようとしているのに。
 また、政府はTPP参加国との事前協議中ということで情報を開示していませんが、とんでもないことが判明しつつあります。TPPによる貿易自由化はアメリカが一人勝ちになるようです。  さらに、ISD条項で米国企業が日本政府を訴えて損害賠償と制度の撤廃を求めることができる内容もはらんでいます。BSE検査基準や遺伝子組み換え表示等も「米国の基準」になってしまう危険性が大きいのです。
 国益にならないTPPに絶対日本を参加させてはなりません。

(JAなすの常務理事 薄井正昭)

読者の声 ~4月の紙面から~

【地元産に安心感】納得できるトマト生産者の苦労・思い・努力が伝わり、ますます地元産の食材に安心感を得ました。応援します。(58歳・女性)

【トマトレシピ参考に】「トマトのぽてっと焼き」を、今度作ってみたいと思います。その日の食事メニューになるので、いつも参考にさせていただいています。(55歳・女性)

【食の不安生むTPP反対】「コラム オアシス」、本当にそう思います。日本の「食」がどうなっていくのか不安だらけです。TPP反対です。(69歳・女性)

【ありがたい活動】「JAくらしの活動」初めて知りました。「食と農」と「高齢者生活支援」。地域住民にとってありがたい活動です。(59歳・女性)

 [写真説明]甘みたっぷりのもぎたてトウモロコシ
 [写真説明]ハウス栽培のトウモロコシの出荷準備に入る羽角さん