食料自給率わずか40%

 食料の6割を海外に頼っている日本。穀物の価格高騰、食品の産地偽装など「食」に関する問題が頻発し、不安は高まるばかりです。このため安全安心な国産農畜産物の良さが見直されていますが、食料自給率の大幅向上はなかなか進んでいません。そこで日本の農家とJAグループは、食と農の距離を縮め、国産品の消費拡大を図ろうと、「やっぱり国産農畜産物推進運動~みんなのよい食プロジェクト~」に取り組んでいます。生産者と消費者がともに「よい食」を作り、選び、考える運動についてご紹介します。

 ■ 6割を海外依存 ■

 食料自給率とは、その国で必要な食料のうち、国内生産で賄える割合を指します。

 農林水産省の統計によると、1965年度に73%だった日本の食料自給率は減少の一途をたどり、98年度以降は40%で横ばい。2006年度にはついに過去最低の39%を記録しました。07年度は13年ぶりに前年度を上回り、40%に回復したものの、依然として低い水準と言えるでしょう。日本人の食生活が欧米化し、輸入に依存する肉や油の消費が増えたことが要因とみられます。

 主要国の食料自給率を見ると、英国70%、独84%、仏122%、米国128%、豪237%。欧米諸国に比べ日本は極めて低い数値であることが一目瞭然です。

 ■ 大きいリスク ■

 気象変動や干ばつ、温暖化によって、穀物の生産に大きな影響が世界規模で出ています。近年は輸入穀物価格の上昇を受け、家畜飼料の価格が上昇し続けており、昨年は小麦など輸入農産物を原料とした食品価格の値上げが相次いで発表されました。

 農産物を輸入に頼ることのリスクは、すでに始まっています。農産物の輸出大国は国内需要を賄うため、また国内価格の上昇を抑える手段として、輸出を規制する動きが出てきています。輸入農産物が、将来にわたり安価で豊富に利用できる保障はありません。

 食料の60%を外国からの輸入に頼っており、もし輸入が止まった場合、日本の食料供給はストップしてしまう懸念があります。輸入に頼り切った食生活を見直し、食料の安定供給を確保するためにも、国産農畜産物の確保が重要となっています。

 ■ 安全安心の確保 ■

 安心できる食生活のために大切なのは、産地の確認です。どこの国の食品なのか、日本のどこで取れたのか-。価格が安いかよりも、安心できるかの基準を選ぶことが大切です。JAグループは、食品の流通ルートを追跡できる「トレーサビリティ」をいち早く導入しており、安全で安心な国産農畜産物を確保しています。

 ■ 地産地消 ■

 「地産地消」とは、地元で作った旬の農産物を地元で消費すること。食品を遠くから運ぶには大量の保存料が必要だったり、輸送時に排出される二酸化炭素もかなりの量になります。

 地元で作ったものは取れたてで新鮮な上、生産者の顔も見える分安心できます。


国産農畜産物消費拡大を
JA中心の運動スタート

 ■ 消費者とともに ■

 こうした背景を踏まえて、昨年から始動したのが「やっぱり国産農畜産物推進運動~みんなのよい食プロジェクト」。JAグループが先頭に立って、生産者や消費者とともに「食」を考え、行動する運動です。

 具体的には、日本の農業が直面している危機的な状況を正確に発信し、理解を得ていく運動を展開。国民一人一人に「よい食」について深く考えてもらい、(1)日本の農業が果たす役割の促進(2)コメをはじめとする国産農畜産物の消費拡大(3)安全・安心な国産農畜産物の取り組み促進(4)生産者が生き生き元気に(5)食料自給率の向上-の5つを目指します。本年度は運動の「理解・認知」を促進し、新年度は一歩踏み込んで「行動・参画」に重点を置く方針です。

 ■ 県内でも啓発活動 ■

 県内でも昨年から(1)役職員によるシンボルマークのバッジ着用(2)JAグループ役職員による街宣活動(3)ポスターやのぼり旗の掲示-などを展開。昨年9、11月の統一行動日には、JA、JA栃木中央会、全農とちぎ県本部などJAグループから約50人ずつが参加。宇都宮市内でリーフレットやポケットティッシュなどを配布し、運動をPRしました。3月13日にも統一行動日を予定しています。

 ■ 「お弁当の日」も ■

 また、新年度は県内の地産地消協力店にのぼり旗の設置とピンバッジの着用を要請。役職員による「お弁当(国産ごはん)の日」を設定し、新たな食のスタイルを喚起していく考えです。家庭や学校で「よい食」習慣を身に付けてもらうため、新しい単位「PAKU」とチェックシートも作りました(下の表参照)。

 今後もJAグループ、生産者、消費者が一体となり、地産地消や食農教育などの身近な活動にも取り組み、「よい食」を全国に広げていきます。

 【笑味ちゃん】プロジェクトのシンボルマーク「笑味(えみ)ちゃん」。漢字の「食」をモチーフに、「よい食」をおいしそうに食べている笑顔を表現しています。「食欲・活力・日本」を表す赤を基調に、力強くシンプルな配色でデザイン。名前には、みんなが笑顔になれる味を、農家と消費者が一緒になって笑顔で作っていきたいという願いが込められています。

 ◇ 今日は何PAKUした? 「よい食」をチェック! ◇

1PAKU 朝ごはんを食べた

2PAKU いただきますと言った

3PAKU 日本でとれた野菜や肉を食べた

4PAKU 新鮮な野菜を食べた

5PAKU つくった農家の人に感謝した

6PAKU よくかんで食べた

7PAKU 楽しくおいしくごはんを食べた

8PAKU 残さず食べた

9PAKU 旬のものを食べた

10PAKU ごちそうさまを言った


 コラムオアシス 「合併10周年」地域とともに明日を拓く

 立春も過ぎ、季節は春に向かって動き出しました。福寿草、フキノトウ、梅もほころび、間もなくウグイスの鳴き声とともにトラクターのエンジンの音が聞こえてきます。

 今年は米国発の金融危機による景気後退、雇用不安と厳しい現実の中でのスタートであります。私たち農業者にとっても生産資材が軒並み高騰し、その生産物である農畜産物は安く、再生産が危ぶまれる状況が続いております。その現実の中でも私たち生産者は歯を食いしばり、安全安心なものを供給するため頑張っております。その生産の実態を消費者の皆さんにご理解いただきたいと切に思います。

 JAなす南は広域合併し10年を迎えました。当地域の協同組合運動は百年以上の歴史があります。当時の厳しい農村事情、農民と地主、金融資本との抗争の中、相互扶助と農村の民主化、経済的社会的地位の向上と自立のため設立されました。

 清流那珂川が南北に流れ、八溝山系の中山間地と塩那台地の丘陵と平坦地の豊かな自然に恵まれた地であります。米麦、梨、イチゴ、カボチャ、畜産物が特産品であり、現在は旬のものとしてフキノトウ、春トマトが出荷されております。

 合併10周年を機に設定したJAなす南のコンセプト「明日を拓く…地域と共に」をスローガンに役職員が一丸となって、地域の皆様と手を携え協同組合運動を一層強化していく所存であります。

(JAなす南代表理事組合長  山田清)