釣り客を取り戻そうとアユを追加放流する県鬼怒川漁協関係者。人気の釣り場だが、糸を垂らす人はまばらだ=14日午後、宇都宮市桑島町

 6月上旬のアユ釣り解禁を「冷水病」の流行が直撃した鬼怒川。流行は終息しつつあるが今も例年並みの釣り客は戻らず、漁協関係者からは原因究明を求める声も出始めた。広島県のダム湖産由来の種苗(しゅびょう)(稚魚)を放流して迎えた最初のシーズンのため、種苗の適応を疑う意見も出ている。一方、専門家らは「他の要因も無視できない」と、河川環境や気象条件なども見据えて慎重に状況を見極めている。

 「本来なら人気の釣り場なんだが…」。14日午後、宇都宮市桑島町の鬼怒川左岸。人がまばらな一帯を見渡し、県鬼怒川漁協の小貫克巳(おぬきかつみ)事務局長(64)はため息をもらした。「なぜ、こうなったのか」。同漁協は今後、原因を検証するという。

 ▽「病に強い」はずが

 鬼怒川では冷水病が例年より早く流行。解禁時期と重なり、「釣れない」と敬遠された。

 異変を受け、漁協関係者や釣り客らが注目したのは、今季に向けて新たに採用した種苗だ。県内各漁協に出荷する種苗を生産する県漁業協同組合連合会(県漁連)は昨年、漁協側の要望を踏まえ「追いが強い」「冷水病に強い」との評判がある広島県の灰塚(はいづか)ダム産を初めて導入。今季向け出荷全体の約6割が灰塚産で、鬼怒川にも多く放流された。

 冷水病には複数の型があるとされる。専門家の中には、今年の冷水病に灰塚産が弱かった可能性を指摘する声も上がる。

 ▽好評な河川も

 対照的に灰塚産が好評の川もある。渡良瀬川はその一つで、冷水病は出ていない。県漁連の担当者は「まだ種苗の良しあしを評価する段階ではない」。下野新聞の釣り情報を担当する「とちぎ自然塾」の関谷忠一(せきやちゅういち)さん(67)も「種苗が原因と考えるのは簡単だが、科学的な根拠はない」と慎重な見方を示す。