運航開始から2年が経過した本県のドクターヘリ。「空飛ぶ医師」は一刻を争う救急医療の現場で大きな役割を果たすと同時に、患者と家族に安心感も与えている。交通事故で四男が搬送された経験を持つ鹿沼市栄町3丁目、主婦小野寺範恵さん(43)は「ヘリから医師が現れたときの心強さは一生忘れない」と振り返る。次男は自由研究でドクターヘリについて調べ、将来は兄弟でフライトドクターを目指している。
大きな鈍い音が住宅街にこだました。2010年9月中旬。秋祭り帰りの小野寺さんと子どもたちを乗せたワゴン車が自宅前に到着した直後だった。2歳だった四男の海君(3)が道路に駆けだし、軽自動車にはねられた。
3メートルほど飛ばされ、アスファルトに投げだされた。泣き叫ぶ海君に状態を尋ねても、会話はできない。小野寺さんは「もう駄目かも…」とパニックに。駆け付けた救急隊員は「外傷がない分、危ない。こんな小さな子をたらい回しにできない」とドクターヘリの出動を要請した。
母子が救急車で鹿沼消防署に行くと、既にヘリは到着していた。青いフライトスーツのドクターを見て、小野寺さんは「もう大丈夫。大きな安心を感じた」。車なら30分程度かかる獨協医大病院まで5分もかからなかった。精密検査の結果、海君は奇跡的にほとんどけがもなかった。
小野寺さんは「ドクターヘリなんて関係ないと思っていた。うちは運がよかったけど、誰にとっても万が一を考えれば絶対に必要です」と感謝している。
この出来事に感動した次男の慶君(11)は、夏休みの自由研究で全国のフライトドクターに連絡をとって冊子にまとめ、ドクターヘリの活動を紹介する機関誌で全国に紹介された。海君も、担当した同病院の菊池仁医師にあこがれて「先生と一緒に痛い人を助けに飛んで行きたい」と、兄弟で夢を膨らませている。