【日光】旧今市市史編さんでの資料収集など、埋もれた歴史に光を当て続けた市歴史民俗資料館長、半田慶恭さん(60)=森友=が今月末、定年退職する。市職員として38年、その大半の28年間を資料館勤めで過ごした。「これだけ一カ所に長い職員は極めて異例」(市総務課)という名物館長は、引退の日が近づく中「好きな仕事をさせてもらえて幸せだった」と話し、今後もやり残したことを個人的に続けていくつもりだという。
資料館の事務室かららせん階段を下りると、コンクリートの壁に囲まれた「収蔵庫B」がある。天正年間、今市でも太閤検地があったことが記された「小林和田家文書」など、5400冊に上る歴史資料が棚に詰め込まれている。
「これが今市の財産」。半田さんの思い入れが一番深い場所だ。
今市中、今市高、東洋大文学部史学科を卒業し1972年、旧今市市役所に一般行政職で入庁する。
大学の恩師に「今市は市史を作っている」と聞いていた。市執行部に半田さんの希望が伝わると、入庁から2年後には編さん事務局兼務になった。
「汗をかいた分だけ成果が出る仕事」を信条に、古い家に残る文書を探しては写しを取り、判読し、目録に収めた。「原本は残し複製を利用する」。こだわったこの手法は「今市方式」と自負する。
82年、歴史民俗資料館が開館すると、半田さんも同館に異動。市史編さん業務も同館に移管された。95年、館長に就任。半田さんが集めた資料を網羅した「いまいち市史」は、新市合併直前の06年2月に完成した。