足利事件で再審無罪が確実な菅家利和さん(63)の第2回再審公判を前に、1991年12月の菅家さん逮捕時の捜査を指揮した山本博一・元県警本部長が今月中旬、下野新聞の取材に応じ「菅家さんが17年間刑務所に入ったことを非常に申し訳なく思う」と謝罪した。菅家さんには県警の石川正一郎本部長と宇都宮地検の幕田英雄検事正が直接謝罪している。山本元本部長は「当時DNA鑑定は確立されつつあり信頼していた」などと述べる一方、冤罪を招いた原因には明言を避けた。(足利事件取材班)
冤罪が明らかになった足利事件について山本元本部長は「極めて慎重に捜査を進めたつもりだったが、こういう結果となりとても残念だ。なぜこういうことになったのか、警察の検証が進められている」と警察庁と県警の今後の対応を見守る考えを示した。
当時の警察庁科学警察研究所(科警研)のDNA型鑑定の証拠能力が再審公判でも争点となっている。
山本元本部長は「専門家ではないので詳しくないが、(逮捕時には)ほぼ確立していたと認識していた。DNA型の一致は状況証拠の一つではあるけれど、絶対的な物証ではない。そういう考えで捜査していた」と振り返った。
冤罪の原因については「今になってああすればよかった、こうすればよかったと申し上げることはない。全部検証しないと答えは出ないだろう。私は言うべき立場にないと思っている」と明言を避けた。
一方、下野新聞の取材に菅家さんは「山本元本部長は当時の捜査全般の責任者であり、私を苦しませた罪がある。捜査のどこかで気付いてくれればこんなことにならなかった。直接謝罪してほしい」と話している。
山本元本部長は90年9月、警察庁刑事局捜査1課長から県警本部長に着任。同年5月に発生した足利事件などの捜査指揮に携わり93年1月に離任、警察庁交通局長や大阪府警本部長を経て99年に退職した。現在は社団法人「新交通管理システム協会」理事長を務めている。