足利事件で再審無罪が確実な菅家利和さん(62)の主任弁護人を務める佐藤博史弁護士が30日、冤罪と報道の在り方などが討議されるマスコミ倫理懇談会第53回全国大会(1、2日)が開催される松山市内で講演し、「新聞やテレビは勝手に『DNA鑑定神話』を作り上げ、菅家さんが公判廷で否認しても真実を見抜けなかった」などと当時の報道を批判した。
「足利事件と報道の責任」の演題で臨んだ佐藤弁護士は、「当時の捜査で行われたDNA型鑑定の精度では、菅家さんと同じDNA型の男性は足利市内に約50人はいた。『100万人に1人』などと誤って報道し、マスコミは鑑定能力にまったく疑問を持たなかった」と指摘。
さらに菅家さんが1審宇都宮地裁で「やってない」と否認に転じた際も「公判廷に多くの記者が傍聴していたにもかかわらず、『極刑恐れ否認?』などと記事に書いている。真実を見抜いたのは、後に菅家さんを支援する足利市内の主婦だけだった」などと批判し、「報道は権力の手先になってはいけない」と強調した。
マスコミ倫理懇談会全国協議会は新聞社や放送局、出版社で組織され、第53回全国大会は「変容する時代にメディアの原点を問う」をメーンテーマに報道関係者約330人が報道や広告の課題などを話し合う。