身寄りのない元受刑者や保護観察中の人たちを一定期間、預かる宇都宮市の更生保護施設「尚徳会館」の収容率が100%を超えている。不況の影響で入所者の就職が進まず、入所期間が長引いているためだ。宇都宮保護観察所は「再犯防止には就労が最も効果的」と、企業へ理解を求めている。10月下旬には、県内の経済団体による就労支援組織が発足する。
入所して3カ月になる男性(50)の目標は「20万円ためてアパートを借りること」。現在の仕事は週3〜4日のパートで時給1000円に満たない。「別の仕事もしないと…」と職探しを続ける。車上荒らしで逮捕されるまでの5年間、住所不定無職だった。家族はいない。
高齢者の状況はさらに厳しい。食料を万引して逮捕された男性(67)は「ここへ来て、いろいろ助けてもらっている」と感謝するが、就職活動は難航。面接を申し込んでも年齢を理由に断られるといい「ここを出た後のことが心配…」とうつむく。入所期間は原則6カ月。それまでに自立する方法を考えなければいけない。
尚徳会館は全国に103ある更生保護施設の一つで、法務大臣認可の更生保護法人尚徳有隣会が運営。身元引受人がおらず、保護観察所が必要と認めた人に食と住を提供し、就労指導などを行う。県内にはこのほか、栃木市に女性を対象とした栃木明徳会がある。
尚徳会館は男性対象で定員は30人。年間の収容率は80〜90%台で推移してきたが、07年度に100%、08年度は103%となり、本年度も満員状態が続いている。相部屋にしても間に合わず「職員の宿直室や療養室に泊まってもらったこともある」(宮沢祐一施設長)という。
宇都宮保護観察所によると、県内には罪を犯した人に対する「協力雇用主」として120社あまり登録されているが、雇用実績は少ないのが現状。
法務省によると、仮出所者らの保護観察終了時点での再犯率は、有職の場合8%なのに対し、無職の場合は40%に上る。