グラウンドのナインに声を掛ける作新学院高の七井祐吏一塁手=9日午前、甲子園

 同じユニホームを着て、必死で目指した甲子園。背番号3を着けてグラウンドに立つ姿に、アルプススタンドの2人の兄は誇らしげだった。作新学院高の5番ファーストで先発出場した七井祐吏(なないゆうり)選手(17)。9日の初戦で敗れたが、「家族に支えられてきたおかげで夏の甲子園でプレーできた」と感謝を口にした。

 野球好きの父伸之(のぶゆき)さん(51)の影響で野球少年に育った3兄弟。長男大貴(だいき)さん(21)は2011年、康介(こうすけ)さん(19)は13年に同校野球部の門をたたいた。大貴さんが入学したのは7連覇が始まった年。大貴さんは惜しくもベンチ入りできず、康介さんは背番号12をつかみ取ったが、甲子園での出場機会は得られなかった。

 祐吏選手が同校に進学したいと話した時、大貴さんは強く反対した。「何となくでできるほど甘くない。技術的にも気持ちの面でも無理だ」。レベルの高さと厳しさを味わってきたからこそ出た言葉だった。

 息子の苦労を見てきた母清子(きよこ)さん(47)も反対した。だが、作新への憧れ、そして「兄の分もやってやる」という思い。自分の気持ちにうそはつけない。必死に食い下がる祐吏選手の涙を見て、両親は腹をくくった。

 あれから3年-。兄2人が成し遂げられなかった、夏の甲子園でのプレーするという悲願を果たし、グラウンドで躍動する祐吏選手の姿を家族はこの日、スタンドから見守った。