2005年12月、日光市(旧今市市)大沢小1年だった吉田有希(よしだゆき)ちゃん=当時(7)=が殺害された今市事件の控訴審第6回公判が6日、東京高裁(藤井敏明(ふじいとしあき)裁判長)で開かれ、証人尋問が行われた。弁護側証人の押田茂實(おしだしげみ)日本大名誉教授は、遺体を拭ったガーゼなどから検出されたミトコンドリアDNA型で「被告の型は出ていない」とした上で「(誰のものか)解明されていない型がある」と証言した。検察側証人の警察庁科学警察研究所(科警研)職員は、被告の型が検出されなくても「(犯人で)矛盾はない」と主張した。

 殺人罪に問われているのは鹿沼市西沢町、無職勝又拓哉(かつまたたくや)被告(35)。遺体の顔などを拭き取って採取した54点のミトコンドリアDNA型鑑定は14年、県警の依頼で実施された。弁護団はこの鑑定結果の分析を押田氏に依頼した。

 弁護団によると、検察側は当時捜査に当たった警察官ら約80人の型を調べ、捜査幹部ら一部との一致が判明した。弁護団は捜査関係者の型が出たのに、わいせつ行為をしたと「自白」した被告の型が出ていないことを疑問視。「出所不明の型こそ真犯人の可能性が高い」としている。

 押田氏は鑑定結果として捜査幹部や女児の型が出た一方、「被告の型は検出されていない」と説明。他に該当者が判明していない不明の型があるとし、「どこに由来するのか真摯(しんし)な対応が必要」と強調した。

 一方、検察側証人の科警研職員は「付着した量が微量だったり、混入があれば(被告の型が)出ないこともある」と説明したほか、元の鑑定の問題点なども指摘。ガーゼで拭き取った遺体の場所によって、被告の型が出なくても矛盾はないとの見解を示した。

 また、遺体に付着した粘着テープの核DNA型についても、押田氏は「不明の型が出ている」と主張。科警研職員は、指紋検出を試みた際に不特定多数の型の混入があったとし「DNAの鑑定資料として適切ではない」と対立した。